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道路に関する調査

一般に合理的かつ経済的な道路建設事業を推進していくためには、道路に関して十分な経済調査、交通調査及び測量調査を行うことが必要です。 これらの調査の結果に基づいて、着工の優先順位、路線の選定、構造規格等が決定されます。

調査の態様

道路に関する調査は、その調査が行われる時期によって2つに分けられます。すなわち、道路の建設の段階で行われる道路管理権に基づく調査(道路法第66条)と、既に出来上がった道路について道路管理に関する国土交通大臣または地方公共団体の長が行う調査(道路法第77条)です。

なお、高速自動車国道法第23条に基づき、国土交通大臣が行う道路に関する調査があります。

調査の種別

道路に関する調査は次の2つがあります。

  • 道路管理権に基づく道路を建設する段階での調査(道路法第66条
  • 道路管理に関する国土交通大臣又は地方公共団体の長による既存の道路について行われる調査(道路法第77条

将来交通の推定

道路の現況、道路網の配置状況、人口の分布、道路以外の交通機関、産業構造分布、国民所得(県民所得)、自動車保有台数などの調査によって、将来の交通量の推定が行われます。

建設費の算定

地形の状況、市街地の形成などの調査によって構造基準を定め、建設費の算定が行われます。

経済効果の算定

道路事業の実施それ自体から得られる景気刺激効果と、道路整備による交通の利便、輸送コストの低減、新規生産の誘発などの効果が測定されます。

交通調査の方法

一般交通量調査は、道路上に交通量観測地を設定し、交通量の時間的変動、種類別構成、区間分布を調査するもので、道路状況調査、交通量調査、旅行速度調査からなります。

OD調査の方法には、調査員によるナンバープレートの調査、郵送による方法、路側質問法、戸別訪問による方法などがあります。

駐車場調査は、人口20万人以上の都市と県庁所在都市を対象に、平成6年度から実施されています。

Q: 一般交通量調査及び OD 調査の目的は何ですか。

A: 一般交通量調査は、交通量の時間的変動、路線分布、車種構成などを調査することを目的としており、OD調査は、交通流の動態を明らかにすることを目的として、車両の出発地及び目的地、トリップの目的、トリップ長、乗車人数、積載品目などについて調査することを目的としています。

調査に伴う権限

道路法上、調査に伴う権限として規定されているものには、道路法第66条の規定に基づく他人の土地の立入りまたは一時使用(道路管理者の権限)と、道路法第77条の規定に基づく通行車両の一時停止と質問(国土交通大臣の権限)の2つがあります。

他人の土地の立入り又は一時使用

道路管理者またはその命じた者、あるいはその委任を受けた者は、道路に関する調査、測量、工事、または道路の維持のために他人の土地に立ち入る、または特別の用途のない他人の土地を一時使用する必要がある場合においては、土地の所有者または占有者の意思に反しても(正当な事由がある場合を除く)、当該土地について立ち入るまたは一時使用することができます(道路法第66条第67条)。ここでいう「立入り」とは、単なる占有権の侵害程度の内容を予定しており、地質調査のためのボーリング、障害物の伐除などの行為は含まれません。

"一時使用"とは、特別の用途のない他人の土地を材料置場または作業場として使用することです。

「他人の土地」には、区域決定前の道路のような全く権原を取得していない土地も対象となります。

「特別の用途のない土地」とは、原野、森林、牧草地、現に耕作していない田畑などのように、一時使用によって影響がきわめて少ない土地をいいます。

この権限により他人の土地に立ち入る者は、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があった場合には、これを呈示しなければなりません(道路法第66条Ⅳ)(様式については道路法施行規則第5条第1項参照してください)。

道路の交通量を調査するための車両の一時停止権と質問権

道路管理者は自己の管理する道路について必要な調査を行うことができます。これは道路法第66条の規定からも明らかです。また、道路に関する主務大臣である国土交通大臣は、道路の交通量、道路の構造その他道路に関し必要な調査を、その職員に行わせることができますし、または当該道路の存する地方公共団体の長またはその命じた職員が行うこともできます。道路の交通量を調査するため特に必要があると認められる場合には、当該調査を行おうとする者は、道路を通行する車両を一時停止させ、当該車両の長さ、幅、高さ、総重量その他調査に必要な事項について質問することができます(道路法第77条)。この調査を行おうとする者は、その身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があったときは、これを呈示しなければなりません(道路法第77条第2項)。この証票は、国土交通大臣が発行します(様式については道路法施行規則第5条第3項参照してください)。

他の法律に規定する道路に関する調査

国土交通大臣は、高速自動車国道の予定路線及び整備計画の決定に関するその権限を行使するため特に必要があるときは、その職員に交通量調査(一時停止権と質問権)を行わせることができます(高速自動車国道法第23条)。また、都道府県公安委員会は、交通の規制の適正を図るため、道路の交通に関する調査を警察官に行わせることができます(道路交通法第11条第1項)。

Q: 道路管理者が他人の土地に立ち入ろうとする場合において、どのような手続を踏むべきか。

A: 次のような手続を踏む必要があります。

  1. あらかじめ占有者に(一時使用の場合には、所有者にも)その旨を通知しなければなりません。この通知は、郵便等の方法でもよく、また通知することが困難なときは、省略することができます。
  2. 当該土地が宅地又はかき、さく等で囲まれた土地である場合は、事前に占有者に直接その旨を告げなければなりません。日出前及び日没後は、占有者の承諾がなければ立ち入ってはなりません。
  3. 施行規則 5 条 1 項に規定する身分を示す証票を携帯し、関係人の請求があった場合には、これを呈示しなければなりません。

Q: 他人の土地に立ち入り測量調査をする場合、測量のため必要とする杭の建植は可能か。

A: 仮杭の建植は一時的かつ軽易なものであれば可能ですが、できる限りあらかじめ相手方の了解を得ることが望ましいです。

Q: 道路管理者から委任を受けて他人の土地に立ち入り又は一時使用する者に対する証明書の交付先は、請負業者等については、代表者かそれとも直接立ち入る者か。

A: 証明書は、立ち入る者に立ち入る権限を与えるとともに、立ち入られる者において、立ち入る者が真正に道路管理者の委任を受けていることを了解させるためのものですので、実際に立ち入る者に対して交付すべきです。

Q: 証明書には、有効期間については記載されることになっているが、調査の対象となる道路については何ら書かれていないがどうか。

A: 証明書の様式には記載されていませんが、道路管理者が命令または委任をする際に、当該調査の及ぶ道路の区域について文書などで明確にしておくべきです。

Q: 施行令第4条第 1 項 14 号の規定により、道路管理者の権限を国土交通大臣が代行することができるが、代行開始の時期はいつからか。

A: 国土交通大臣の権限代行は、工事開始告示がなされたときからです。

Q: 「道路を通行する車両」には、自転車、荷車等も含まれるか。

A: 道路法第77条でいう「道路を通行する車両」の「車両」とは、法2条3項により道路交通法2条1項8号に規定するもので、これには自転車、荷車などの軽車両が含まれます。

Q: 道路法第77条 条に規定する調査を、地方公共団体の人手が足りないこと等を理由に請負業者に行わせることができるか。

A: 本条による調査は、国土交通大臣が全国的な道路行政上の必要性から行うものであり、当該行政目的達成のために、調査に当たるものに対し一定の権限を与えています(道路法第77条第2項)。また、調査に要する費用の一部を地方公共団体に補助することができます(道路法第56条)等の措置を講じています。これらのことからみて、補助要員として使用することは可能ですが、一般私人である請負業者に全面的に行わせることはできません。

Q: 道路法第77条 条に規定する調査を、地方公共団体の人手が足りないこと等を理由に請負業者に行わせることができるか。

A: 本条による調査は、国土交通大臣が全国的な道路行政上の必要性から行うものであり、当該行政目的達成のために、調査に当たるものに対し一定の権限を与えています(道路法第77条第2項)。また、調査に要する費用の一部を地方公共団体に補助することができます(道路法第56条)等の措置を講じています。これらのことからみて、補助要員として使用することは可能ですが、一般私人である請負業者に全面的に行わせることはできません。

Q: 有料道路における調査について、高速道路会社等の職員において行うことができるか。

A: 道路整備特別措置法第55条の規定によりできます(国土交通大臣は、この調査をその職員または高速道路会社等、または高速道路会社等の命じた職員に行わせることができるとされています)。

Q: 調査のため一時停止させようとしたが停止せず走り抜けた者、質問したが返答しようとしない者に対して、この権限に基づき何等かの措置を講ずることができるか。

A: 犯罪捜査のために認められたものではない旨の解釈規定がおかれていること(道路法第77条第3項)、罰則の規定がないこと、監督処分になじまないことなどからして、強制的な措置を講じることはできません。なお、通常は、調査の円滑な実施を期するため、警察官の立会いその他の協力を求めています。

調査に要する費用

道路の調査に要する費用は、道路法第66条に規定するものについては、当該道路の道路管理者の負担です(道路法第49条、なお、損失補償については道路法第69条参照)。

調査に要する費用の補助

道路法第77条の規定に基づく道路に関する調査に要する費用については、国は、予算の範囲内において、その要する費用の3分の1以内を、道路管理者に対して補助することができます(道路法第56条)。