道路の廃止
路線の廃止及び供用の廃止
「路線の廃止」とは、指定又は認定された路線の対象となっている道路の全部又は一部を、道路法上の道路でないものとする行政行為であり、「供用の廃止」とは、供用開始された道路の全部又は一部を、一般交通の用に供することをやめる行政行為です。 ともに、代替道路又は種類を異にする道路の新設等により、一般交通の用に供していた道路をその用に供する必要がなくなった場合に行われ(路線の変更、区域変更も同様です。)、当該廃止に係る道路敷その他の物件は、不用物件としての取扱いを受けます。 なお、「路線の変更」とは、路線を廃止して、同時にこれに代わるべき路線を認定するという手続上の一つの行為です。
廃止の手続
路線の廃止、供用の廃止の手続については、第3章及び第6章においてそれぞれ記したところですが(法10·18Ⅱ)、路線の変更若しくは廃止又は区域の変更に基づく供 用の廃止については、供用の廃止の手続を行う必要はありません。
Q and A
廃止予定の道路に利用者がある場合
Q 廃止予定の道路を唯一の出入口とする宅地に住宅が建築された場合、道路管理者は当該路線を廃止することができるか。 A 道路管理者は、当該道路を公道として管理することが公益上必要であるか否かを慎重に判断して、当該道路の廃止を決すべきですが、設問のような場合に住宅が存することのみをもって道路の廃止が不可能となるものではありません。
一般国道の指定区間における不用物件
Q 新たに指定区間に指定された場合の管理事務引継ぎには、当該引継ぎの対象である国道に関して、現に存在する不用物件の引継ぎも含まれるか。 A 指定区間に指定された国道の区間について、道路管理者としての管理事務を引き継ぐものであり、不用物件管理者の事務は含まれません。 なお、引継ぎに際し、廃道敷処分が未済のものは、従前の管理者がこれらの事務手続を完了すべきです。
不用となった橋の取扱い
Q 新たな道路の完成により、不用となった旧道路区域に存する橋梁の取扱いはどうしたらよいか。
- 不用物件とする場合、撤去すべきか否か。
- 交通上危険であるため、通行の制限又は禁止をしたいが、標識設置だけで十分といえるか。
- 通行制限の上利用することとした当該橋梁の維持は、どの程度行えばよいか。 A
- 通常の場合、法93条の申出がある場合を除き不用物件の管理期間経過後撤去します。
- 交通上危険である旧橋については、(イ)不用物件とする前に撤去します。又は、(ロ)不用物件として管理する場合は柵等により事実上通行ができないよう措置すべきです。
- 通行制限の上、利用させる場合は、あらかじめ他の道路の区域とした上で、他の道路管理者へ引き継ぎ、道路法上の管理を行います。
架け替え後放置された橋台等の撤去
Q 架け替えによって用途廃止された橋梁の橋台が、その後も河川区域内の土地に存置されている場合、当該橋台の撤去の義務は誰が負うこととな るのか。 A 当該道路の道路管理者であった者が撤去義務を負います。なお、河川管理者は当該道路の道路管理者であった者に橋台の撤去を命じることができます。
不用物件の占用
Q 管理期間中の不用物件について、道路の占用を許可することができるか。 A 不用物件については、道路法の占用に関する規定の適用はなく、不用物件の管理権の発動として、使用許可をすることもできますが、原則として使用させるべきではありません。使用させる場合においても一時的なものに限定するべきです(昭和30年10月25日道島25号「道路法に関する疑義について」道路局長回答参照)。
管理期間中の処分
Q 不用物件の管理期間中の処分はできないか。 A 令38条に規定されている期間は、当該物件の所有者等が他に用途があると考える場合においても道路管理者の管理が義務づけられるのであって、法に明文の規定を置く場合のほかは、原則として処分することはできません。
管理期間の特例
Q 公共事業に伴う公共補償により、道路を付替えた場合、当該不 用となった道路を旧管理者が法定期間中必ず管理することを要するか。 A 原則としては必要ですが、交通が危険な橋梁、ダム工事の水没道路等のように、他の道路として転用する余地がない場合には、不用物件の管理期間中であっても、処分して差し支えありません(「道路法上の疑義について」昭和30年12月21日道関建23号道路局長通達参照)。
不用物件の交換と国有財産法
Q 国有地である不用物件を交換する(法92Ⅳ)場合に、国有財産法上の手続は必要か。 A 法92条4項による交換は、道路管理者が行使する道路法上の権限であり、別途国有財産法27条の交換手続を必要としません(「道路法92条4項と他の法律との関係について」昭和42年8月22日束道政発34号東京都建設局長あて道路局路政課長回答参照)。 ただし、法92条4項の規定により国有財産部局長の同意は必要となりますが、当該国有地が国土交通省所管に係るときは、国土交通大臣の同意は不要です(「道路法92条4項に基づく国有財産の取扱について」昭和36年3月8日建会京3号京都府知事あて道路局長回答)。
管理期間の経過後の管理責任
Q 不用物件管理期間経過後の旧道路敷の管理責任は、誰が負うか。 A 不用物件管理期間経過後は、すみやかに法94条1項又は2項により処理しなければなりませんが、これらの手続未済の間は、不用物件管理者が引き続き管理責任を負います(「道路法の規定に基く国有財産の取扱について」昭和30年4月19日道発111号道路局長通達第3(3)2参照)。
Q 不用物件における従前の道路占用等はどうなるか。 A 不用物件については、従前の道路占用等の法律関係は消滅することとなりますと解します。ただし、不用物件の管理権の範囲内で、道路敷の使用を行わせることは可能であり、即座に占用物件を除去することが困難又は不適当な場合には、旧道路敷の将来の利用見通し等を勘案して、措置することができます。
国有財産である不用物件
Q 国有財産である不用物件を引き渡す場合の手続はどうするか。 A
- 法92条4項の交換の場合は、国有財産部局長の同意を求めます。
- 法94条1項の返還の場合は、所管する国有財産部局長を経由して、財務省部局長へ返還します。
- 法94条2項の譲与を受ける場合は、所管省庁の国有財産取扱規則等により手続します。
国道が廃止され、従来重複していた県道となる場合
Q 国道の区域が廃止されたため、従来重複していた県道の区域となる国有地について、国有財産法上の手続はどうするか。 A この場合の国有地は、国有財産法上同令5条1項4号の引継不適当財産とされるため、財務大臣に引き継ぐことなく、国土交通省所管の普通財産として管理処分することとなります。なお、新たに道路管理者となる者の権原は、従来潜在的に有していた権原によるものとし、新たな国有財産法上の手続を要しません。
国道から県道にする場合
Q 国有地である指定区間内国道の廃道を、法93条の規定により県道とする場合、
- 法90条2項の手続は必要か。
- 廃道敷は国土交通省所管の普通財産か。
- 引渡し手続を行う国有財産部局長は誰か。 A
- 新たに法90条2項の手続をとる必要はありませんが、国有財産の所管換等及び所管国有財産部局長間の引継事務は行う必要があります。
- 国土交通省所管の普通財産です。
- 地方整備局長です。
所属会計が異なる国有財産
Q 国有財産である不用物件の所属する会計が異なる場合の手続方法は、どうすればよいか。 A 道路の廃止手続及び不用物件の処理は、所属会計によって差異はありませんが、所管部局長が異なる場合は、不用物件の交換の同意、返還、譲与等の手続は、異なる部局長ごとに行わなければなりません。
不用物件の管理期間後の国有財産を地方道として使う場合
Q 不用物件の管理期間経過後の国有の廃道敷を地方道とする場合、法90条2項の手続によることができるか。 A 管理期間経過後の不用物件は、法94条によりすみやかに処理しなければなりませんが、これらの手続未済の間は、従前の国有財産管理者である部局長が管理しているから、法90条2項の申請を当該不用物件に係る国有財産部局長へすれば足ります。
法93条による不用物件の使用
Q 法93条により不用物件を他の道路に使用する場合、
- 土地の所有者の同意は必要か。
- 従前特定の道路(市道)として使用する条件で土地所有者から無償貸与を受けている場合、新道路管理者と土 地の所有者とで新契約を必要とするか。
- 法93条の引渡しは、所有権移転まで含むか。 A
- 法93条の引渡しは、道路法上の義務であり、同意を得る必要はありません。
- 新契約は必要としません。
- 道路として供用開始するに必要な権原があればよく、所有権の移転までは必ずしも含むものではありません。
指定区間内国道の不用物件
Q 指定区間内国道にかかる不用物件を、地方公共団体に譲与することができるか。 A 譲与できます。すなわち、指定区間内国道にかかる不用物件の譲与に