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道路の区域決定

「道路の区域」とは、道路を構成する敷地の幅及び長さによって示される平面的区域を言い、道路法の規定は、原則としてこの部分の上下の空間に適用されます。

なお、道路法第47条の5の規定により、道路の立体的区域を設定する場合は、空間または地下に上下の範囲を区切って定められた立体的区域とすることができます。

道路の区域決定とその効果

道路の区域は、道路管理者が行う「区域の決定」という行政行為により定まります(道路法第18条第1項)。

この区域の決定により、道路法の適用範囲が明確になる点で、道路管理上最も重要な行為と言えます。すなわち、「区域の決定」は、道路の範囲を確定する行政上の確認行為であり、これにより定まる道路の敷地等について供用の開始がなされた後は私権の制限が働くことになります。なお、道路の区域が決定されると、道路の供用が開始されるまでの間は、道路管理者が権原を取得する前においても、当該区域内では一定の行為が制限されます(道路法第91条第1項)、権原を取得した後においては、供用の開始前であっても、私権の制限、占用関係の規制等の道路法上の一定の管理規定が働くこととなります(道路法第91条第2項)。

Q: 用地は計画幅員(例 4 車線)分買収し、築造は暫定施工(例 2 車線)する場合、区域決定は計画幅員ですべきか、又は暫定施工幅員ですべきか。

A: 区域決定は、計画幅員ですべきです。当面、道路として供用されない部分は、道路予定地(道路法第91条第2項)として管理されます。

Q: 附属物の敷地の道路区域への編入する必要はあるか。

A: 管理主体を明確にするためにも、道路区域に編入する必要があります。土砂流出防止壁、落石防止柵、雪崩防止柵等の防災施設は、道路本体から離れて山腹等に設置される場合もありますが、その敷地も道路区域に編入すべきです。ただし、道路情報管理施設(法第2条第2項第4号)については、庁舎内等で操作する必要がある等の事情により、道路区域外であっても適切に管理されていれば問題ない場合もあります。

Q: いわゆる「飛地」状に道路区域を設定することは可能か。

A: 道路の構造の保全など道路管理上必要な施設については道路本体から離れた「飛地」であっても道路区域とすることができます。なお、落石防止柵や雪崩防止柵等についても、道路本体に接して設けられず相当程度離れているケースもありますが、道路管理上必要なものとして道路区域に編入すべきです。

Q: バイパス工事において、現道に接続しない区域決定は可能か。

A: 一般的には適当ではありません。しかし、計画線が現道に接続しており、工事の実施上特別の理由がある場合には、現道と接続しない区域決定もやむを得ません。

Q:二以上の道路が重複した場合立体的に限定した区域決定はできるか。できるものとすればその方法。

A: 立体的区域決定は現行法上問題が多いですが、2つ以上の道路が立体的に重複し、その管理区分を明確にする必要がある場合には差し支えありません。
公示は、一般の区域の決定と同様に、1 道路の種類、2 路線名、3 区間、4 敷地の幅員及び延長並びに、5 区域を表示した図面を縦覧する場所及び期間のほか、6 地表面からの下限及び上限と並びに、7 脚類の位置等について行う必要があります。
また、図面としては、平面図及び立面図を用意し、縦覧に供することが必要です。

Q:改築のうち拡幅工事の場合には、既存の道路の部分についても立体的区域決定を行うことができるか。また、未舗装道路の舗装工事の場合はどうか。

A: 道路の改築を行う場合において、立体的区域決定を行うことができるのは、道路管理者が新たに土地に関する権原を取得して工事を行う道路または道路の部分に限られ、既に道路として供用されている既存の道路または道路の部分は対象となりません。
したがって、拡幅工事の場合には、既存の道路の部分について立体的区域決定を行うことはできません。
また、未舗装道路の舗装工事は、道路の改築には該当しますが、既に道路管理者が権原を取得して供用している道路について、およそ「適正かつ合理的な土地利用の促進を図るため必要がある」とは考えられないことから、この場合についても、道路の立体的区域決定を行うことはありえません。

Q:道路一体建物とは何か。

A: 建物が、道路を支持するものとして道路と一体的な構造となっており、建物の取り壊しが即、道路の崩壊につながるようなものを「道路一体建物」といいます。
道路一体建物は、建物の中を道路が貫通するような形態(貫通型)と建物の屋上を道路が通過するような形態(屋上通過型)の2つに分類されます。

Q:道路保全立体区域と沿道区域、特別沿道区域との関係はどうなるのか。道路の縦と横で制限が異なるのか。

A: 沿道区域、特別沿道区域は、いずれも沿道、すなわち道路区域に接続する土地の区域について指定されるものであり、道路の立体的区域のさらに上下の空間または地下について、これらの区域を指定することはできません。
したがって、立体的区域の決定された道路は、沿道については沿道区域又は特別沿道区域、上下空間については道路保全立体区域が指定できることになりますが、その結果、それぞれの区域の性格上、道路区域の縦と横では若干異なった内容の制限が課せられることになります。

Q:道路の立体的区域決定を行い得る地域は、大都市地域に限られるのか。

A: 本制度は、市街地において地価高騰、代替地取得難等の理由により道路整備が遅延している状況を打開し、道路の整備を促進するとともに、あわせて適正かつ合理的な土地利用を図るために創設されたものです。基本的には大都市地域において適用されることが多いと予想されます。ただし、それ以外の地域であっても、道路整備を促進するために本制度を適用する必要性が高い場合があれば、本制度を適用しない理由はなく、むしろ積極的に道路の立体的区域決定等を行って道路整備を促進することが適当だと考えられます。

Q:「上下の範囲」の公示及び縦覧の方法並びに道路台帳上の取扱いはどのようになるか。

上下の範囲を定める方法としては、区分地上権を設定する場合の例にならい、測量法に定める平均海面または道路の立体的区域を設定する土地の地表の特定の地点を含む水平面を基準として、

  1. 東京湾平均海面上〇〇メートルから〇〇メートルの間又は、
  2. 標高〇〇メートルから〇〇メートルの間あるいは、
  3. 土地の〇〇地点を含む水平面を基準として上〇〇メートルから〇〇メートルの間

のいずれかにより定められることとなります。

また、道路の立体的区域の公示を行う場合には、地下又は空間について上下の範囲が定められていることを明示するとともに、縦覧する図面及び道路台帳上の図面として、必要な立面図を加えることにより、設定された立体的区域が十分周知されるよう措置することが大切です。

Q:立体的区域を決定する道路の権原としては、何が考えられるか。

道路施設の上下の空間について基本的に建築物等の自由な利用を認めるためには、土地所有権を利用者に留保して、道路管理者は、道路管理上必要な範囲のみの限定的な権利を権原として取得することが必要です。

したがって、立体的区域を決定する道路の権原としては、民法第269条の2の区分地上権が考えられます。

Q:ペデストリアンデッキ、自由通路等の歩行者専用道路等についての立体道路制度の適用は可能か。

歩行者専用道路、自転車専用道路及び歩行者自転車専用道路についても、都市計画法第12条の11に規定する「自動車の沿道への出入りができない高架その他の構造」及び建築基準法第43条第1項第2号に規定する「高架の道路その他の道路であって自動車の沿道への出入りができない構造」のものに該当すれば、立体道路制度の適用が可能です。

Q:立体的区域が決定された道路の土地収用法上の取扱いはどのようになるか。

立体的区域が決定された道路については、土地収用法上は、「土地の使用」として取り扱われるものと考えられます。

Q:道路一体建物に係る道路等の権原としては、何が考えられるか。

道路一体建物に係る道路の権原としては、土地については、原則として区分地上権の設定が考えられますが、ある物件が他の構造物によって支持されている時はその物件に係る地上権は登記できないという説もあるため、そのような場合には土地の共有持分を取得することが想定されます。
建物自体については、原則として、道路を支持する構造物として建物を利用する権利を、法律上の協定によって取得することが考えられます。

Q:海上ルート渡船の区域決定はどうするのか。

海上ルートの区域決定は必要ありません。渡船の区域決定は、接岸施設及び船舶について区域決定すればよいです。

Q:道路と分離して少し離れたところまで排水路を整備する必要が生じたが、これは道路区域とすべきか。

道路構造物として管理する必要がある以上、道路区域とすべきです。

Q:道路区域を表示した公図がないために道路区域の明確でない道路があるが、道路管理者のとるべき措置は何か。

道路法上の道路として供用されているのであれば、すみやかに道路区域を明確にした図面を整備し、管理の万全を期すべきです。

Q:地下横断歩道の出入口を既存道路区域外の沿道建物の地階に設置することは可能か。可能である場合、既存道路区域外の昇降階段部については道路区域に編入すべきか。

歩道幅員、交通量等からやむをえない場合には可能です。この場合、既存道路区域外の昇降階段部については、道路区域に編入する必要があります。なお、土地建物の所有者とは、当該部分の土地及び建築物の使用に関する権利設定及び道路の管理の適正を図るための管理に関する協定を締結する必要が生じます。この場合、道路法に基づく道路管理権の行使は、原則として昇降階段を構成する部分に限定して行使します。

区域の決定(変更)の手続

区域の決定の時期

道路管理者は、路線が指定されたり、路線の認定や変更が公示された場合には、遅滞なく道路の区域を決定しなければなりません(道路法第18条第1項)。なお、区域の決定は、道路管理者が区域の決定の対象となる土地について所有権などの権原を取得する前にも行うことができます。

区域の決定の公示

道路管理者は、道路の区域を決定した場合においては、すみやかに、国土交通省令で定めるところによりこれを公示しなければなりません(道路法第18条第1項)。

区域の決定の公示は、道路の種類、路線名、敷地の幅員及びその延長(道路法第47条の5の規定により立体的区域とする場合は、さらに、当該立体的区域とする区間及びその延長)、区域を表示した図面を縦覧する場所及び期間について行い、同時に、道路の区域を表示した縮尺 1000 分の 1 以上の図面を関係地方整備局若しくは北海道開発局、又は関係都道府県若しくは市町村の事務所において一般の縦覧に供しなければなりません(道路法第18条第1項、施行規則 2)。

なお、公示の様式自体は国土交通省令では定められていません。

区域の決定の公示の効力

区域の決定の公示は、単に区域の決定の事実を一般に知らせるという意味しか持たないです。区域の決定の効力とは関係ありませんが、公示をしなかった場合には、道路法第91条第1項の規定に違反した者に対して、区域決定の効力を主張することはできません。

区域の変更

区域の変更は、従来の道路の区域に新たに区域を追加したり、道路の区域の一部または全部を廃止して、これに代わる新たな道路の区域を決定するという一連の手続きを行う行政処分です。道路の一部を変更する場合は、路線の起点、終点または重要な経過地を変更する場合を除き、すべて区域の変更として取り扱われます。たとえば、バイパスを建設してダブルウェイにする場合、線型を改良する場合、拡幅工事を行う場合などは、すべて区域の変更として取り扱われます。

ただし、路線の変更の場合、これにより新たに認定された路線については、区域の決定をなすべきで、区域の変更の手続をとるべきではありません。

区域の変更の公示については、区域の決定の場合と同様です。

道路予定区域

道路予定区域の意義

将来、道路とするために、区域の決定をし、土地に関する権原を取得した後において、当該土地又は設置された道路の附属物となるべきものを「道路予定区域」といいます(道路法第91条第2項)。

道路予定区域の管理

道路予定区域については、道路法の次の条項が準用され、供用開始後の道路に準じた管理が行われます。