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道路行政の指導助成

意義

旧道路法においては、道路法上の道路はすべて国の営造物として位置づけられ、地方道についても、知事、市長村長が国の強力な監督のもとに、機関委任事務として道路管理を行っていました。これに対して、現行道路法においては、国道を国の、都道府県道を都道府県の、市町村道を市町村の営造物とし、それぞれに道路管理者が独立する建前となっています。しかしながら、道路は、高速自動車国道から市町村道に至るまで、相互に有機的関連をもって初めて円滑に機能するものであります。

このような理由から、地方自治の原則を尊重しつつ、一定の事項につき、国等が、道路管理者に対して指導助成を行うこととされています。

国土交通大臣との協議等

協議を要する場合

都道府県知事は、都道府県道の路線を認定し、変更し、または廃止しようとする場合(法7条5項から7項までの規定により路線の認定について国土交通大臣が裁定した場合及び10条3項の規定により7条5項から7項までに規定する手続に準じて路線の変更または廃止について国土交通大臣が裁定した場合を除く。)においては、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣に協議しなければなりません。ただし、国土交通省令で定める軽易なものについては、この限りではありません(法74I)。

指定区間外の国道の道路管理者は、当該国道を新設し、または改築しようとする場合においては、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣の認可を受けなければなりません。ただし、国土交通省令で定める軽易なものについては、この限りではありません(法74Ⅱ)。

協議等を要しない軽易な事項

法74条1項ただし書の規定により、国土交通大臣との協議を要しない軽易な事項は、次に掲げるものですが、この事項を行った場合には、その旨を地方整備局長または北海道開発局長に報告しなければなりません(施行規則7の2)。

  1. 主要港または主要停車場の位置の変更に伴う路線の変更または廃止
  2. 土地改良事業の施行に伴う路線の変更または廃止
  3. 鉄道または軌道の敷設のために必要な路線の変更
  4. 河川の流路の移動に伴い必要な路線の変更
  5. 市街地内において都道府県道と並行する市町村道のうち、構造の良好なものを都道府県道にするために必要な路線の変更
  6. 市街地再開発事業の施行に伴う路線の変更または廃止
  7. 水害、潮害、雪害、砂害等の災害を避けるために必要な局部的路線の変更
  8. こう配または屈曲の局部的改良のために必要な路線の変更

法74条2項ただし書により、国土交通大臣の認可を要しない軽易な事項は、道路の附属物の新設または改築のみに関する工事ですが、この工事を行った場合には、その旨を地方整備局長または北海道開発局長に報告しなければなりません(施行規則9)。

認可申請手続

都道府県知事は、法74条1項の規定により、都道府県道の路線認定、変更または廃止について協議しようとする場合においては、一定の様式の協議書に路線名、起点、終点、重要な経過地等を記入し、路線延長調書、関係主要地等調書、平面図、を添付して、地方整備局長または北海道開発局長に提出します。ただし、路線の廃止の場合は、関係主要地等調書の添付は必要ありません(施行規則7)。

指定区間外の国道の道路管理者は、法74条2項の規定により、国道の新設または改築について認可を受けようとする場合においては、一定の様式の申請書に、路線名、工事区間、工種等を記載し、工事計画書、工事費及び財源調書並びに平面図、縦断図、横断定規図その他必要な図面を添付して、地方整備局長または北海道開発局長に提出します(施行規則8)。

報告の提出

報告を要する場合

道路管理者は、都道府県である場合にあっては国土交通大臣に、市町村である場合にあっては都道府県知事に、それぞれの要領で次に定める事項を、報告しなければなりません(法76、施行規則10I)。

  • 道路整備計画については、社会経済情勢の変化等に伴い道路整備計画を作成し、または変更した際には速やかに
  • 道路に関する工事の施行実績については、工事を施行した後速やかに
  • 道路と鉄道とが交差する場合における交差方式等についての協議の内容については、協議が成立した際には速やかに
  • 占用料条例、連結料条例または受益者負担金条例については、条例を制定した際には速やかに

なお、「国土交通大臣の認可」の項で述べたように、認可の対象とならない軽微な事項については、報告の義務があること(施行規則9Ⅱ)に注意してください。

また、道路管理者は、前記の道路整備計画についての報告を行うときは、一定の様式により、都道府県にあっては縮尺5万分の1程度の、市町村にあっては都道府県が市町村ごとに定める縮尺(5万分の1以上のものに限る。)の図面に少なくとも次に掲げる事項を記載したものを添付して行うものとします(施行規則10Ⅱ)。

  • 市町村、大字及び字の名称並びに境界線
  • 車道の幅員
  • 主要なトンネル、橋及び渡船施設並びにこれらの名称
  • 道路と効用を兼ねる主要な他の工作物
  • 交差し、または接続する道路または重複する道路のうち主要なもの並びにこれらの種類及び路線名
  • 交差する鉄道または新設軌道及びこれらの名称
  • 作成の年月日

法令違反等に関する監督

監督権が発動される場合

国土交通大臣は、指定区間外の国道に関し、次に掲げる場合においては、当該指定区間外の国道の道路管理者に対して、その処分の取消し、変更その他必要な処分又はその工事の中止、変更、施行若しくは道路の維持のため必要な措置をすること(以下2、3において「必要な処分等」という。)を指示することができます。

  • (i)道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため特に必要があると認められる場合
  • (ⅱ)道路管理者のした処分又は工事がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくはこれらに基づいて国土交通大臣がした処分に違反すると認められる場合

国土交通大臣は都道府県道及び指定市の市道に関し、都道府県知事は指定市の市道以外の市町村道に関し、次に掲げる場合においては、それぞれ当該道路の道路管理者に対して、次に定める措置をすることができます。

  • (i)道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため緊急の必要があると認められる場合––→必要な処分等の指示
  • (ii)道路管理者のした処分又は工事がこの法律、この法律に基づく命令又はこれらに基づいて国土交通大臣若しくは都道府県知事がした処分に違反すると認められる場合–→必要な処分等の要求(都道府県知事がするときは、勧告)

国土交通大臣は、指定市の市道以外の市町村道に関し、次に掲げる場合においては、当該道路の道路管理者に対して、次に定める措置をすることができます。

  • (i)道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため緊急の必要があると認められる場合であって特に必要があると認められる場合––→必要な処分等の指示
  • (ii)道路管理者のした処分又は工事がこの法律、この法律に基づく命令又はこれらに基づいて国土交通大臣若しくは都道府県知事がした処分に違反すると認められる場合であって特に必要があると認められる場合––→必要な処分等の要求

道路管理者は、国土交通大臣から前記2(i)、3(i)の要求を受けたときは、必要な処分等を行わなければなりません。

損失の補償

国土交通大臣又は都道府県知事の処分により道路管理者が自己の処分を取り消し、又は変更したことにより、損失を受けた者がある場合においては、道路管理者は、損失を受けた者に対し通常生ずべき損失(処分と相当因果関係のある損失)を補償しなければなりません。この場合においては、法69条2項及び3項の規定が準用されるので、損失の補償について道路管理者と損失を受けた者とが協議し、協議が成立しなかった場合には、道路管理者が自己の見積った金額を支払うが、当該金額について不服がある者は、支払いを受けた日から1月以内に、収用委員会に土地収用法94条の規定による裁決を申請することができます(法75V·VI)。

道路の行政又は技術に対する勧告等

国土交通大臣は、都道府県又は市町村に対し、都道府県知事は市町村に対し、道路を保全し、その他道路の整備を促進するため、道路の行政又は技術に関して必要な勧告、助言又は援助をすることができます(法78)。

補助金等交付の場合の監督

国が道路に関する費用の一部を負担し又は補助したときには、国士交通大臣は「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」のま定に基づき、各種の監督権を行使することができます(同法1214·121·23)。