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路線の指定及び認定

「路線」とは、当該道路の道路網上で果たすべき交通機能を示すために必要な範囲内で示される道路の位置です。

道路の位置といっても、具体的な区域により定まる必要はなく、その表示方法は道路の種類によって異なります。

路線の指定及び認定

路線は、高速自動車国道及び一般国道にあっては政令(「高速自動車国道の路線を指定する政令」及び「一般国道の路線を指定する政令」)で指定されます。

都道府県道及び市町村道にあっては、当該地方公共団体の機関である都道府県知事または市町村長が行う「認定」という行政行為により定まります。

この指定又は認定による法律上の効果として、当該路線の属する道路が道路法上の特定された種類に属する道路となり、またその道路の道路管理者が決定されます。道路管理者は当該路線を建設、管理する義務を負いますので、管理行為の出発点となるものです。ただし、一般国道の場合にあっては「一般国道の指定区間を指定する政令」によって最終的に道路管理者が決定されます。

高速自動車国道

高速自動車国道の路線は、国土開発幹線自動車道の予定路線並びに国土開発幹線自動車道建設審議会及び内閣の議を経て国土交通大臣が定めた高速自動車国道の予定路線(高速自動車国道法第3条)のうちから政令で指定されます(高速自動車国道法第4条)。

高速自動車国道は、自動車の高速交通に供する道路で、全国的な自動車交通網の枢要部分を構成し、かつ、政治・経済・文化上特に重要な地域を連絡するものその他国の利害に特に重大な関係を有するものでなければなりません。(高速自動車国道法第4条

一般国道との主たる相違点は、すべて高速の自動車専用道路であること及び全国的な自動車交通網上に占める役割がより枢要であることです。

一般国道

一般国道の路線の指定は、社会資本整備審議会の議を経て政令でなされます(道路法第5条道路法第79条第1項)。この政令においては、路線名、起点、終点、重要な経過地その他路線について必要な事項を定めることとされています(道路法第5条第2項)。路線の廃止または変更の手続については、道路法上の明文の規定はありませんが、政令の改廃という形でなされます。

一般国道は、高速自動車道と併せて全国的な幹線道路網を構成するものです。また、次のいずれかの要件を備えていなければなりません。(道路法第5条)

  1. 国土を縦断し、横断し、又は循環して、都道府県庁所在地(北海道の支庁所在地を含む。)その他政治上、経済上又は文化上特に重要な都市を連絡する道路
  2. 重要都市又は人口 10 万以上の市と高速自動車国道又は 1.に該当する国道とを連絡する道路
  3. 二以上の市を連絡して高速自動車国道又は 1.に規定する国道に達する道路
  4. 港湾法第2条第2項に規定する特定重要港湾若しくは同法附則 V に規定する港湾、重要な飛行場又は国際観光上重要な地と高速自動車国道又は 1.に規定する国道とを連絡する道路
  5. 国土の総合的な開発又は利用上特別の建設又は整備を必要とする都市と高速自動車国道又は 1.に該当する国道とを連絡する道路

都道府県道又は市町村道

都道府県道または市町村道の路線の認定は、都道府県知事または市町村長によって当該地方公共団体の議会の議決を経た上でなされます(道路法第7条第2項・第8条第2項)。また、都道府県道の場合には、国土交通大臣との協議が必要です(道路法第74条第1項)。

認定しようとする都道府県道の路線が指定市の区域内に存在する場合は、都道府県知事は当該指定市の長の意見を聞かなければなりません(道路法第7条第3項)。二以上の都道府県の区域にわたる場合は、関係都道府県は協議の上それぞれ議会の議決を経る必要があります(道路法第7条第4項)。市町村道の路線を当該市町村の区域を越えて指定しようとする場合には、当該市町村長は、関係市町村の承諾を待たなければなりません(道路法第8条第3項)。

認定した場合には、路線名、起点、終点、重要な経過地等について公示し、路線を明示した図面を一般の縦覧に供しなければなりません(道路法第9条道路法施行規則第1条)。路線の廃止または変更の場合の手続きは、認定の手続きに準じて行わなければなりません(道路法第10条第3項)。

なお、議会の議決及び国土交通大臣との協議は、路線認定の効力発生要件であり、これを欠く場合は当然無効となります。

都道府県道の認定のための要件

都道府県道は、地方的な幹線道路網を構成し、かつ次のいずれかの要件に該当しなければなりません。(道路法第7条

  1. 市又は人口 5 千以上の町とこれらと密接な関係にある主要地、港湾法第2条第2項に規定する重要港湾若しくは地方港湾、漁港漁場整備法 5 に規定する第二種漁港若しくは第三種漁港、飛行場、鉄道若しくは軌道の主要な停車場若しくは停留場又は主要な観光地とを連絡する道路
  2. 主要港とこれと密接な関係にある主要停車場または主要な観光地とを連絡する道路
  3. 主要停車場とこれと密接な関係にある主要な観光地とを連絡する道路
  4. 二以上の市町村を経由する幹線で、これらの市町村とその沿線地方に密接な関係がある主要地、主要港又は主要停車場とを連絡する道路
  5. 主要地、主要港、主要停車場又は主要な観光地とこれらと密接な関係にある高速自動車国道、一般国道又は 1~4 に該当する都道府県道とを連絡する道路
  6. 1~5 の外、地方開発のため特に必要な道路

市町村道の認定のための要件

市町村道の指定基準については法定化されていませんが、これは市町村道が住民の生活に直結した道路であり、地域社会の事情に合致したものであることが望ましいことから、各地方公共団体の自主性に任せることにしたものです。(道路法第8条

Q: 一般交通の用に供されている私道を市町村道とするよう申し入れがあったが、市町村に義務はあるか。

A: 道路法上の義務はありませんが、公共性の強い私道は、事情の許す限り道路法上の道路(市町村道)として認定し、管理することが望ましい。

Q: ダム工事用資材運搬道路を、道路法上の道路とする必要はあるか。

A: 例えばダム工事用の資材を運搬するための道路であっても、一般交通の用に供される道路であれば、道路法上の道路とすることが望ましい。
特にダム事業者と地元との話し合いで、工事完了後地元市町村等が道路として管理することが決定しているような道路については、当初より道路法上の道路として路線認定、区域決定し、道路法第24条の規定による承認工事として新設または改築を行わせることができます。

Q: トラック交通不能区間を有している路線を認定することができるか。

A: 可能です。

Q: 都道府県道又は市町村道の認定にあたり、議会の議決を求めた場合、議会に修正権はあると解すべきか。

A: 路線の認定権は、地方公共団体の長の専権であるため(法 7·8)、議会に修正権はないと解されます。

Q: 市町村合併を行った場合、合併後に再度道路区域を決定する必要はあるか。

A: 合併前の道路の路線認定の効果は、当該道路の管理事務とともに合併後の市町村に承継されますので、改めて路線の認定を行う必要はありません。ただし、市町村合併に伴い路線名に用いられている地名(市町村名、大字名)が廃止される場合には、合併後速やかに路線名の見直しを行う必要があります。

Q: 路線の変更の手続をとることができるのはどのような場合か。

A: 路線の変更は、廃止する旧路線と新路線との間に代替性があることが必要です。

  1. 起点若しくは終点又はそのいずれもが変更する場合
  2. 二以上の路線を合わせて一の路線とする場合又は一の路線を分割して二以上の路線とする場合

路線の変更によることはできませんが、旧路線の廃止及び新路線の認定の二重の手続きが必要になります。

路線の重複

「路線の重複」とは、国道の路線と都道府県道若しくは市町村道の路線又は都道府県道の路線と市町村道の路線とが同一平面上において、縦断的又は横断的に重なることをいい、この場合には、それぞれの道路の管理権が競合するので、調整規定が定められています(道路法第11条)。

法の適用関係の変動

路線が重複する場合には、重複する道路の区域に限り、国道と都道府県道又は市町村道との場合にあっては国道、都道府県道と市町村道との場合にあっては都道府県道に関する道路法の規定が適用されます。ただし、道路区域を変更する場合のように、競合して道路に関する規定を適用しても不合理が生じない限りは、他の道路に関する規定も適用されます。

重複することによって道路管理権が変動する場合、既存の道路管理者が行った行政処分の効果は、後から指定又は認定された道路の管理者に当然に承継されます。

重複する場合の手続

路線が重複するように指定、認定若しくは変更する場合又は重複した路線について廃止若しくは変更しようとする場合には、他の道路の管理者にその旨を通知しなければならない(一般国道の管理者に対する場合を除く。)(道路法第11条第3項)。なお、既存の道路に重複して路線が指定され、認定され又は変更される場合においては、その重複する道路の部分については、供用開始の公示は必要ではない(法 18Ⅱ ただし書)。

Q: 既存の道路の上に高架道路が建設されている場合は、路線が重複しているものと考えてよいか。

A: 道路法第11条に規定する路線の重複とは、平面的な重複(同一路面が 2 以上の道路の路面となる場合における重複)のみをいい、高架道路の場合は含まれません。したがって、高架道路については、別途供用の開始の手続が必要です。

Q: 既存の道路の上に高架道路がある場合に、既存の道路と高架道路の共用部分の管理はどうしたらよいか。

A: 共用部分の管理については、双方の道路の管理者で協議し、管理方法を定めることができる(道路法第19の2高速自動車国道法第7条の2)。

Q: 既存の都道府県道についてあとから国道の区域の決定が行われた場合、都道府県道の管理者によって既に許可になっている占用物件について、国道の管理者が監督処分をすることができるか。

A: 国道の管理者が監督処分を行うことは可能です(昭和 33 年 12 月 26 日道路発 29 号参照)。