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道路の供用開始

「供用の開始」とは、道路管理者が路線の指定または認定及び区域決定という行政行為を経て、外形上も公共の用に供し得る状態となった道路を、一般交通の用に供する旨意思表示する行政行為です。供用の開始をするためには、道路予定地について、道路管理者が正当に権原を取得していること、道路としての物的施設が一般交通の用に供して差し支えない程度に備わっていることが必要です。

供用の開始がなされたならば、道路法の規定が全面的に適用され、道路法上の道路としての管理が行われます。

供用の開始の手続

道路管理者は、道路の供用を開始し、または廃止しようとする場合には、当該道路が既存の道路と重複する場合を除き、路線名、供用開始または廃止の区間、供用開始または廃止の期日並びに区間を表示した図面を縦覧する場所及び期間について公示し、かつ、これを表示した図面を関係事務所において一般の縦覧に供しなければなりません(法 18Ⅱ)。

この公示は、供用開始という行政行為が有効に成立するための効力発生要件です。

専用道路の指定

総論

専用道路の意義

道路法上の道路は、一般交通の用に供されることが、建前となっています(法 2)が、これは必ずしも混合交通の用に供されることを意味するものではありません。一般不特定の大衆の用に供することを前提とすれば、自動車のみ、自転車のみ、又は歩行者のみの交通の用に道路を供することも可能です。近年における道路交通量の増大及び道路交通に対する需要の複雑化等に対応するため道路法に自動車専用道路等の指定の規定(法 48 の 2~48 の 16)が置かれています。

専用道路の種類

専用道路には、次に掲げるものがあります。

  • 自動車専用道路(法 48 の 2·昭和 34 年創設)
  • 自転車専用道路(法 48 の 13Ⅰ·昭和 46 年創設)
  • 自転車歩行者専用道路(法 48 の 13Ⅱ·昭和 46 年創設)
  • 歩行者専用道路(法 48 の 13Ⅲ·昭和 46 年創設)

専用道路への立ち入り制限

専用道路の指定が行われると、当該指定による以外の交通手段によって専用道路をみだりに通行してはならない(法 48 の 11·48 の 15)。みだりでない通行とは法的に又は社会常識的に妥当なものをいい、警察官が交通取締りのために立ち入る場合、道路管理者が道路の管理のために立ち入る場合、緊急自動車が進入する場合はその例です。

自動車専用道路の指定

自動車専用道路指定の要件

自動車専用道路は、次のような条件のもとで指定することができます。

  1. 大都市地域の交通の円滑化を目的とする都市高速道路(法 48 の 2Ⅰ)にあっては、
    • (i)交通が著しくふくそうして道路における車両の能率的な運行に支障のある市街地及びその周辺の地域において、交通の円滑を図るために必要があると道路管理者が認めること。
    • (ii)まだ供用の開始がない道路(高速自動車国道を除く。)であること。
  2. 交通が著しくふくそうし、又はその見込みがある道路の区間内において交通の円滑化又は道路交通騒音により生ずる障害の防止を目的とする自動車専用道路(法 48 の 2Ⅱ)にあっては、
    • (i)交通が著しくふくそうし、又はふくそうすることが見込まれることにより、車両の能率的な運行に支障があり若しくは道路交通騒音により生ずる障害があり、又はそれらのおそれがある道路(高速自動車国道及び法 48 の 2Ⅰ により指定された道路を除く。)の区間内であること。
    • (ii)交通の円滑又は道路交通騒音により生ずる障害の防止を図るために必要があると道路管理者が認めること。
    • (iii)通常他に道路の通行の方法があって、自動車以外の方法による通行に支障のないこと。
    • (iv)このような道路(未供用に限る。)又は道路の部分について、区域を定めて指定するものであること。

指定(解除)の手続

道路管理者は、自動車専用道路の指定又は解除を行う場合は、全線指定については路線名及び指定又は解除する期日のみを、部分指定の場合は路線名、指定し又は解除する道路の部分及び期日並びに当該部分を表示した図面を縦覧する場所及び期間を公示し、図面を関係機関の事務所において一般の縦覧に供しなければなりません(法 48 の 2IV、施行規則 4 の 13)。

公示の法的性格

自動車専用道路の指定が行われると、立入制限等の行為制限及びそれに反した場合の罰則等が生じるため、この公示は自動車専用道路の指定という行政行為の効力発生要件です。

指定の効果

交差の方式

自動車専用道路が他の道路、軌道、一般自動車道等と交差する場合の交差の方式は、立体交差としなければなりません。ただし、一定の場合にはこの限りではありません(法 48 の 3、施行令 35)。

連結の制限

次に掲げる施設以外の施設は自動車専用道路と連結させてはなりません。

  • (i)道路(軌道を除く。)。
  • (ii)自動車専用道路の通行者の利便に供するための休憩所、給油所等又は利用者のうち相当数の者が自動車専用道路を通行すると見込まれる商業施設、レクリエーション施設等。
  • (iii)(ii)の施設と自動車専用道路とを連絡する通路等で、専ら(ii)の施設の利用者の通行の用に供することを目的として設けられるもの。
他の道路等との連結及び交差の場合の手続

他の道路等の施設を自動車専用道路と連結又は交差させようとする場合に、当該施設の管理者が道路管理者であるときは、自動車専用道路の道路管理者と協議しなければなりません。道路管理者以外の者であるときは自動車専用道路の道路管理者の許可を受けなければなりません。自動車専用道路以外の道路等を自動車専用道路と立体交差以外の方式で交差させようとする場合も同様です(法 48 の 5)。

出入制限

道路管理者は、自動車専用道路の入口等に通行の禁止又は制限に係る道路標識を設置しなければなりません。また何人もみだりに自動車専用道路に立ち入り又は自動車による以外の方法で通行してはなりません(法 48 の 11)。これに違反した場合その者に対し、道路管理者は行為の中止その他の危険防止のため必要な措置をとることを命令し、命令に従わないものは 50 万円以下の罰金に処せられます(法 48 の 12·103)。

高速自動車国道

高速自動車国道は本来的に自動車のみの高速交通の用に供される道路であり(高速自動車国道法 4)、別に自動車専用道路の指定を要しません。

一般自動車道等

道路運送法による一般自動車道及び専用自動車道は専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道路ですが、これらは道路法上の道路ではありません。しかしながら、自動車専用道路と機能的に類似しているので、その間の調整について特に考慮を払わなければなりません。

自転車専用道路等

自転車専用道路等の意義

自転車専用道路等(自転車専用道路、自転車歩行者専用道路、歩行者専用道路)は、交通の激しい市街地においては、自転車、歩行者を、自動車交通から分離することによって、安全で快適な交通空間を確保するものであり、郊外においては、サイクリング道路、緑道、遊歩道等のレクリエーション空間を提供するものです。

自転車専用道路等の指定

道路管理者は、交通の安全と円滑を図るために必要があると認めるときは、まだ供用の開始がない道路又は道路の部分について、区間を定めて、もっぱら自転車、自転車及び歩行者又は歩行者のみの一般交通の用に供する道路又は道路の部分を指定することができる(法 48 条の 13Ⅰ~Ⅲ)。

ただし、「道路の部分」については、緑石線又はさく、その他これに類する工作物により、他の部分と構造的に分離されていることを要します。

公安委員会規制との関係

従来より市街地においては、自動車交通総量の削減、交通安全等の見地から、公安委員会規制による一時的な、自転車又は歩行者用道路が実施されており、本制度はこれとは独立に作用するものでありますが、効果という面では、自転車道等を道路管理者が設けた場合の当該部分の交通規制は道路交通法によることとなる等共通する点があるので、指定にあたっては、公安委員会規制の状況を勘案する必要があります。

要件等

自転車専用道路等は、まだ供用の開始のない道路又は道路の部分について指定されます。道路全体を指定する場合としては、河川敷の一部を利用する場合、都市内の河川等に蓋をして設ける場合等が代表的であり、道路の部分に係るものとしては、道路に接する軌道敷を利用する場合、又は拡幅した部分に設ける場合等があります。

ショッピングモール

市街地の商店街等において、快適な散歩とショッピングのための空間を与えるため、道路に所要の改築を加えるいわゆるショッピングモール(Shopping mall)のようなものも本指定の対象となるべきものと考えられます。