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憲法の意味

憲法の特色

憲法は、

  1. 自由の基礎法
  2. 制限規範
  3. 最高法規

という3つの特色を備えています。

自由の基礎法

憲法は、人権を保障する規定を多く置いており、その規定の多くが「○○の自由」という名称であることから、自由を基礎づける法であるとされています。

制限規範

憲法で自由が定められているということは、同時に、国家権力に対してこのような自由を妨げてはならないと宣言しているということです。このことから、憲法は、国家権力を制限する規範であるといえます。

注意

制限規範とは、国家権力を制限する規範という意味であり、国民を制限する規範という意味ではありません(むしろ国民の暮らしを守る規範です)。

最高法規

憲法は、法律などの他のルールよりも上位に位置づけられている国の最高法規です(98条1項)。

憲法の最高法規性は、法律などの下位のルールや国家権力の行使によって危険にさらされる場合があります。 そこで、憲法を危険にさらすような政治活動を事前に防止するため、天皇·摂政や、国務大臣·国会議員·裁判官などの公務員に対して、憲法を尊重し擁護する義務(これを憲法尊重擁護義務といいます)が課されています(99条)。

注意

憲法尊重擁護義務が課せられているのはあくまで公務員であり、一般国民には憲法尊重擁護義務が課せられていません。

憲法の基本原理

憲法の基本原理には、

  1. 国民主権
  2. 基本的人権の尊重
  3. 平和主義

の3つがあります。

国民主権

国民主権とは、国の政治のあり方を最終的に決定する力又は権威が国民にあるとする原理のことです。

なお、主権の概念は、一般に、1国家の統治権、2国家権力の属性としての最高独立性、3国政についての最高の決定権、という3つの意味で用いられています。

【主権概念】

意味具体例
国家の統治権国土と国民を支配する権利のこと「日本国ノ主権八本州、北海道、九州及四国
並二吾等ノ決定スル諸小島二局限セラルベシ」とするポツダム宣言8項の「主権」
国家権力の属性としての
最高独立性
国内においては最高、
国外に対しては独立であること
「政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、
自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる」とする憲法前文3項の「主権」
国政についての
最高決定権
国の政治のあり方を最終的に
決定する力又は権威のこと
1「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」
とする憲法前文1項の「主権」 2「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、
この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」とする憲法1条の「主権」

基本的人権の尊重

基本的人権とは、人間が生まれながらにして当然に持っている権利のことです。基本的人権は、1固有性、2不可侵性、3普遍性という3つの性質をもっています。

【基本的人権の性質】

性質内容
固有性人間であることにより当然に認められること
不可侵性国家権力によって侵害されないこと
普遍性人種・性別などに関係なく誰にでも認められること

平和主義

日本国憲法は、戦争に対する深い反省から、平和主義の原理を採用し、戦争と戦力の放棄を宣言しています(9条)。

最重要凡例

事案

国が米軍飛行場拡張のため東京都砂川町の測量を開始し、これに反対した地元住民らが基地内に立ち入った行為が、旧日米安全保障条約に基づく刑事特別法違反に問われたため、日米安全保障条約の合憲性が争われた。

結論

合憲·違憲の判断をしなかった。

判旨

1.戦力の意義

9条2項がその保持を禁止した戦力とは、我が国がその主体となってこれに指揮権·管理権を行使しうる戦力をいい、外国の軍隊は、たとえ我が国に駐留するとしても、ここにいう戦力に該当しない。

2 自衛権の保障の可否

我が国が自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然であるから、9条により我が国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく、憲法の平和主義は決して無防備·無抵抗を定めたものではない。

Q: 憲法の判例には「砂川事件」のように事件名が書かれているものがありますが、憲法の判例は事件名まで覚える必要があるんですか?

A: 事件名は単なる通称にすぎず、最高裁判所が名付けた正式なものではありませんし、事件名を知らなければ正解できないような問題は出題されませんから、事件名まで覚える必要はありません。