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道路の占用

道路の特別使用

道路は、本来一般交通の用に供されるものですが、他方、道路を根幹として生活圏が形成され、公的または私的な諸活動が展開されるために道路を本来的な用法以外に生活の場として利用する関係が生じます。これが、道路の特別使用と呼ばれるものであり、道路の占用です。

占用の定義

道路の占用とは、道路に一定の工作物、物件または施設(これを「占用物件」といいます。)を設け、継続して道路を使用することをいいます(法32)。

この場合において、「道路」の範囲は、横の関係では道路区域の範囲であり、縦の関係では、路面を中心にその上下に及びます。上下は無限ではありませんが、道路の管理上必要な範囲に限られます。この範囲について道路管理権が及びますが、所有権の及ぶ範囲と同じく、社会通念上支配可能な範囲と考えてよいです。

「継続して」とは、使用状態に相当程度の固定性が備わればよく、1回の使用が長時間継続する必要はありません。例えば、屋台店のように、1回の時間は短くても反復性、固定性があるものは、「継続して」に該当します。

占用の種類

道路の占用は、道路管理者の許可を受けて行う「許可占用」と、道路管理者と協議して行う「協議占用」に区分されますが、「許可占用」のうちでも水道、電気、ガス事業等のための占用いわゆる「公益事業占用」––は、特別な取扱いを受けています(これを「義務占用」と呼ぶこともあります。)。これについては後述第6節を参照してください。

占用の性質

一般に道路の使用関係は、その使用形態によって一般使用と特別使用に区別され、特別使用については、その使用が認められる法律上の性格から、一般的な禁止を特定の場合に解除する「許可使用」と、特定の使用権を設定する「特許使用」とにさらに分類されます。道路交通法の道路使用許可(同法77)は、「許可使用」です。しかし、道路の占用は、許可使用とは異なり、道路上に一定の施設を設け、当該道路を継続して使用する権利を設定するものであり、「特許使用」に該当します。

道路の占用に関する特別法

道路占用については、道路法に規定されていますが、軌道法、鉄道事業法、駐車場法等道路法以外の法律においても、その特例が規定されているので注意が必要です。これについては、後述第12節(218頁)を参照してください。

Q and A

道路管理権の及ぶ範囲

Q 沿道の家屋からの出入のため、法面を埋立て通路を設置する行為は、占用で処理すべきか、承認工事で処理すべきか。

A 当該部分は道路と一体不可分であり、かつ、排他独占的に使用権を与えることは妥当ではありませんので、原則として承認工事として処理すべきです。

デモ行進、祭礼の行列

Q いわゆるデモ行進、祭礼の行列は、道路の一般使用とは異なりますが、占用と考えてもよいでしょうか。

A 占用とは考えられません(道路交通法76条による規制を受けることとなります。)。

占用物件

限定列挙主義

旧道路法は、道路の占用物件について「一般概括主義」をとり、道路の占用をすることができる物件を限定していませんでした。これに対して、現行法は一定の列挙された物件以外のものは占用物件として認めず、占用物件についていわゆる「限定列挙主義」をとっています。

占用物件の内容

道路法は、占用物件を次項以下に掲げるものに限定しています。しかし、列挙した物件の末尾には、「これらに類する物件(施設・工作物)」という抽象的文言が附されているので、その用途、形態等から合理的に解釈できるものは、占用物件として取り扱うべきです。ただし、その解釈に当たっては、限定列挙の趣旨に反しないよう厳格に判断すべきです。

電柱、電線、変圧塔、郵便差出箱、公衆電話所、広告塔その他これらに類する工作物

「これらに類する工作物」としては、一般的には、路上に設置される公益性のある柱類、ボックス類、塔類が含まれます。警察官派出所、公衆便所、消火栓、くずかご、フラワーボックス、ベンチ、バス待合所等がその例です。

水管、下水道管、ガス管その他これらに類する物件

マンホール、洞道等これらの物件の設置管理に必要な附帯施設も含まれます。「これらに類する物件」としては、石油パイプライン、熱供給事業法による熱供給管等があります。

鉄道、軌道その他これらに類する施設

これらの施設の設置場所は、路面、地上又は地下のいかんを問わず、線路、停車場はもちろん、架線柱、停留所の標識等、これらの施設と一体をなすものは、すべて含まれます。「これらに類する施設」としては、新交通システム、モノレール等があります。

歩廊、雪よけその他これらに類する施設

日よけ、アーケード等はこれに含まれます。いわゆる「がんぎ」は、雪よけに含まれます。

地下街、地下室、通路その他これらに類する施設

「地下街」とは、地下に設けられる商店街をいいます。「地下室」に類する施設としては、地下駐車場、地下広場等があります。「通路」は、地下通路に限らず、路上通路、高架道路の路面下の通路、上空通路、等も含まれます。

露店、商品置場その他これらに類する施設

屋台店、空ビン置場等が代表的なものです。いずれも臨時的に設置されるもので、土地に定着せず、簡単に取り払えるものに限られます。

政令物件

  • このほか、政令で次のものが定められています(施行令7)。
    • 看板、標識、旗ざお、パーキングメーター、幕及びアーチ
    • 工事用板囲、足場、詰所その他の工事用施設
    • 土石、竹木、瓦その他の工事用材料
    • 防火地域において、既存建築物に代えて耐火建築物を建築する期間中必要となる仮設店舗その他の仮設建築物
    • 市街地再開発事業の施行区域内の建築物に居住する者で当該事業によって建築される建築物に入居することとなるものを一時収容するために必要な施設、防災街区整備事業に関する都市計画において定められた施行区域内の建築物に居住する者で当該事業の施行後に当該区域内に居住することとなるものを一時収容するための施設
    • トンネルの上又は高架の道路の路面下に設ける事務所、店舗、倉庫、住宅、自動車駐車場、広場、公園、運動場その他これらに類する施設
    • 都市計画法第8条第1項第3号の高度地区及び高度利用地区並びに同項第4号の2の都市再生特別地区内の高速自動車国道又は自動車専用道路の上空に設ける事務所、店舗、倉庫、住宅その他これらに類する施設及び自動車駐車場
    • 建築基準法第85条第1項に規定する特定行政庁が指定する区域内に存する道路の区域内に設ける非常災害の被災者を一時収容するために必要な応急仮設建築物で国、地方公共団体又は日本赤十字社が設置する施設
    • 道路の区域内の地面に設ける自転車等を駐車させるため必要な車輪止め装置その他の器具
    • 高速自動車国道又は自動車専用道路の連結路附属地に設ける食事施設、購買施設その他これらに類する施設で、これらの道路の通行者の利便の増進に資するもの
    • 高速自動車国道又は自動車専用道路に設ける休憩所、給油所及び自動車修理所

Q and A

踏切道は占用物件か

Q 踏切道を兼用工作物として管理する場合において、踏切道自体は占用物件と解すべきか。

A 占用物件です。

鉱山の坑道は占用物件か

Q 路面下を斜横断する坑道(例えば亜炭採掘用坑道)は、占用許可対象施設に該当するか。該当するとすれば、法32条1項の何号該当か。

A 道路の管理権の及ぶ範囲内に坑道がある場合は、占用物件として取り扱うべきです。鉱業法64条の規定の趣旨に照らし、地表から少なくとも50メートル以内の範囲は、道路管理権の及ぶ範囲です。該当号は5号です。

「交通安全週間」を示す横断幕等の取扱い

Q 道路管理者は、「交通安全週間」、「火災予防月間」、「選挙期間中」等を示す横断幕又は「交通安全標語」を掲示する立看板等の道路占用についてどのような態度をとるべきか。原則として極力抑制する方針をとるものと解してよいか。

A 道路横断幕等の占用は、交通の危険、標識等の効用を妨げるおそれがあり、原則として認めない方針で処理すべきです。

防火用水槽等は占用物件か

Q 防火用水槽は、占用許可対象物件に該当するか。「消防水利」、「消火栓」等の標識は占用か。

A 「防火水槽」は法32条1項5号の「地下室に類する施設」、その他は施行令7条1号の「標識」に該当します。

高架橋下に漁業用の電灯を設置することは占用か

Q 海岸を通過する高架橋の下に、漁を行うための電灯を設置することは、道路の占用に該当するか。

A 占用です。

墓標等は占用物件か

Q 交通事故により死亡した者の遺族等の設置する墓標等は、占用許可対象物件に該当するか。

A 法32条1項1号の工作物には該当しますが、交通安全上問題もあるので極力抑制すべきです。

ぬり広告は占用物件か

Q ぬり広告は、道路の占用になるか。

A 占用物件に該当しません。

歩道上のベンチは占用物件か

Q 歩道上に設置するベンチは、占用許可対象物件であるか。

A 道路管理上必要なものとして、道路管理者の設けるものは道路の附属物ですが、そうでないものは、道路の歩行者等の利用形態から判断し、地域の実情に応じ、公益上設置することが妥当な場合に限り、占用許可として扱います。この場合には、道路管理上支障のない場所に設置しなければなりません(「ベンチ及び上屋の道路占用の取扱いについて」平成6年6月30日付道政発32号道路局長通達)。

広告付アーチ街路灯の占用

Q 広告スポンサーが経費を負担して、広告物を添加したうえ設置するアーチ街路灯の占用許可申請は、許可して差し支えないか。

A 街路灯が必要な箇所は、原則として道路管理者が道路附属物として設置するべきであり、占用物件としての設置は避けるべきです。また、広告については、占用の必要性が希薄であり、抑制すべきです。

広告付地名標識の占用

Q 広告付の地名標識を設置したい旨の申請があったが、これは許可してよいものか。

A 道路に設置する案内標識については、道路管理者以外の者が設置するのは望ましくありません。

Q 橋梁下の繋船は占用か橋梁の下に繋船することは、道路の占用に該当するか。

A 占用にはなりません。ただし、杭等を設置して繋船する場合には、その杭等が占用物件となります。

鳥居は占用物件か

Q 鳥居は占用物件か。

A 占用物件です。アーチの一種ではありますが、新たに占用を認めることは好ましくありません。

「くつみがき」、「夜店」等は占用か

Q 「くつみがき」、「夜店」、「屋台」、「ホットドック屋」(自動車使用)は、道路の占用に該当するか。

A 継続して同一場所を使用する場合は、道路の占用(法32条1項6該当)です。

道路上空に設けられる避難階段は占用物件か

Q 道路に隣接する旅館等から、避難階段を道路の上空に設置することを、道路の占用として処理しても差し支えないか。

A 道路を継続して使用するものであれば、占用物件となります。しかし、避難階段の設置については、当該建築物の敷地内に設置されることが望ましく、他に余地がなく、道路の構造、交通に支障がない場合に限るべきです。また構造的にも固定的なものは避けるべきです。なお、緊急避難時に建物より路上に設置する救助袋等に用いる固定環は、占用として処理します。

Q 道路照明灯への道路標識の添加道路照明灯へ標識(占用物件)を添加することができるか。

A 道路照明灯への標識の添加は、道路の占用に該当します。

占用の許可

許可の根拠

道路の占用は、道路管理者の許可を受けなければなりません(法32)。国等の行う事業のための占用は、道路管理者と協議すれば足りますが、これについては別に述べます。

この許可は、道路を構成する土地に関する所有権等の私法上の権利に基づくものではなく、道路管理権に基づくものであり、公法上のものです。道路には私権の制限が行われている結果、道路を構成する土地を利用する関係は、この許可によるほかは、成立する余地はありません。

許可の性質

この許可は、許可を受けて道路を使用する者に対して、一律に法律上の一定の地位が保障されていることからして、道路に関し使用権を設定する行為(講学上の特許)であると考えられています。

占用権

許可を受けた者は、道路を使用する権利(占用権)を取得します。この権利は、公法上の関係において、道路を使用することを主張することができる権利です。

継続占用の許可

許可の期間が満了した後、再び同一の占用を継続しようとする場合は、新たに許可を受けなければなりません。ただし、その期間が当初の占用目的を達成するために必要かつ十分でない場合には、当初から継続占用が予定されていると考えられるので、期間更新の許可によるべきです。期間更新の手続は、当初の許可手続と同様です(法32Ⅲ)。

占用の変更許可

占用の目的、期間、場所等申請事項を変更しようとするときは、道路管理者の許可を受けなければなりません(法32Ⅲ)。ただし、占用物件の構造の変更であって重量の著しい増加を伴わないもの及び道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのない物件の占用物件に対する添加であって、当該占用者が当該占用の目的に附随して行うものについては、道路管理者の許可は必要ありません(施行令8)。

占用物件に対する添加

占用物件に、道路管理者以外の者が新たに道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある物件を添加する行為は、新たな占用とみなされ、法32条の許可を受けなければなりません(法41)。

「添加」とは、物件を附加することであり、電柱にペンキで塗装する行為は含まれませんが、看板を取り付ける行為は含まれます。

自由裁量行為

許可の申請が決定の要件を満たしていても、道路管理者は許可すべき義務はありません。この意味において、自由裁量行為です。ただし、期間更新の許可については、当該占用を継続させることができない特別の理由がない限り、許可すべきであり、その範囲で道路管理者の判断が拘束されています。

許可の条件

占用許可に対して附することのできる条件は、大きく分けて、

  • 占用者の将来にわたる責任に関する事項(法87)
  • 占用工事に関する事項(法34)

に分かれますが、前者は、道路の構造を保全し、交通の危険を防止し、その他円滑な交通を確保するために附することができますが、その条件は、許可を受けた者に不当な義務を課するものであってはなりません。

また、移転費用の負担を除いては、法令に比較的明確な規定があるので、確認的な条件が多いですが、後者については、明確な規定がないため、占用工事の実施の方法、道路の復旧方法等が条件の中心を占めています。

Q and A

事前協議

Q 現在、占用許可に際し、国土交通省に事前協議することとされている事項は何か。

A 特殊な占用物件で全国的に影響のあるものについて、次のような通達が出され、国土交通省との事前協議を行うこととなっています。

  1. 地下街・地下室・地下通路…「道路の管理に関する取扱いについて」(昭和32年5月29日道発147号の2道路局路政課長通達)ただし、地下通路については、事前協議は廃止されました(「地下通路の道路占用について」昭和60年3月30日道政発24号道路局路政課長通知)。

  2. 上空通路…「道路の上空に設ける通路の取扱について」(昭和32年7月15日建設省発住37号他建設事務次官等通達)

  3. サービスエリア内施設…「高速自動車国道又は自動車専用道路に設ける休憩所、給油所及び自動車修理所の取扱いについて」(昭和42年11月14日道政発91号道路局長通達)

  4. 石油管…「石油圧送施設の道路占用について」(昭和46年8月20日道政発89号道路局長通達)ただし、道路を横断して占用するもの又は、道路を縦断して占用するもので占用延長が500m未満のものについては、事前協議を行う必要はありません(「高架道路の路面下の占用許可及び石油圧送施設の占用許可に係る事前協議について」昭和58年2月5日道政発12号道路局長通達)。

  5. 高架下占用…「高架の道路の路面下の占用許可に係る事前協議および道路の占用の期間について」(昭和42年3月17日道政発17号道路局長通達)

占用物件の修繕のための工事

Q 占用物件を修繕するための工事の許可は、占用許可の条件に基づく許可と考えるべきか、占用の変更の許可と考えるべきか。

A 占用物件の修繕のための工事は、必要が生じたときに工事の追加があったものとして、占用の変更の手続(法32Ⅲ)によって処理すべきです。

占用期間の更新

Q 占用期間が満了して、更新の申請があった場合、「占用の期間」の変更として処理すべきか、新たな許可として処理すべきか。

A 手続上、新たな許可として処理すべきです。

直轄工事区間の許可権者

Q 直轄工事区間として工事開始の告示がなされた道路の区間については、現に直轄工事を施行していない部分についても、地方建設局において占用許可すべきものと解してよいか。

A 解してよいです。しかしながら、バイパス工事等現道部分の工事を必要としない区間については、現道部分を除外して告示し、当該現道部分については、本来の道路管理者が占用許可する等の配慮をすることが必要です。

道路管理上以外の理由による不許可

Q 看板の占用申請があった場合、道路管理上は支障ないと考えられるが、屋外広告物担当機関が美観的に不適当であると判断しているときは、美観を理由に不許可とすることができるか。

A 道路の占用許可は自由裁量行為であり、またその可否判断は公共性、公益性に配慮することは当然です。占用許可に係る行為が、他の法令による許可、認可を必要とする場合、その法令による許可、認可がなされないことが確実な場合に、それを理由に占用を許可しないことは差し支えありません。

占用権の侵害

Q 占用許可に基づく占用権を第三者が侵害した場合は、占用権に基づいて侵害行為を排除することができるか。

A 可能です(占用権は公法的性格のほかに私法上の物権的性格を併せ有するもので、第三者の侵害に関しては妨害排除請求が認められます。)。

アーケードに広告物を添加することは占用か

Q アーケードに広告物を添加する場合には、新たに占用の許可を受けなければならないと思うがどうか。

A 手続としては新たに占用の許可を申請しなければなりませんが、極力抑制すべきです。※道路交通法77条、屋外広告物法、公職選挙法等の適用に留意してください。

道路占用が競願の場合の取扱い

Q 道路占用の許可申請が競願となっている場合の取扱いはどうしたらよいか。先願者を優先させる必要はあるか。

A 占用物件の公益性、占用の目的、道路占用の必要性等から判断して裁量により決定すべきです。それでもなお、競願者いずれも同一条件の場合は、先願者優先が妥当です。

道路予定区域の占用

Q まちづくりや賑わい創出等の観点から必要な道路予定区域の占用をどう取り扱うべきか。

A 道路予定区域の占用は、道路管理上及び土地利用計画上十分検討し、他に余地がないため必要やむを得ない場合に限って認められているものですが、まちづくりや賑わい創出等の観点からその有効活用が必要と認められる場合には、道路管理上支障があると認められる場合を除き、当該占用予定区域における占用を認めてもよいです。

廃道敷の占用

Q 廃道敷の占用について、道路法の占用の規定は適用されるか。

A 適用されません。不用物件(法92)の管理期間中は、その管理者に使用の許可を受けることになります。その後は、通常の財産の使用関係として処理されることとなりますが、道路としての供用が廃止された段階で原則として原状に回復することが望ましいです。

路面復旧のための条件

Q 道路の占用に伴う路面復旧が十分でないため、原状回復後に路面に亀裂を生じたり、路面沈下を生ずる場合が予想される。このような事態に対処するため、法87条に基づき「路面の復旧後6ヶ月間当該路面の維持をすること」という条件を附することは、不当な義務を課することとなるか。

A 地質が不良な場合、特殊工法を施した場合等にあっては不当な条件と考えられません。

埋設管の取替え

Q 道路の路面下の占用物件(埋設管)を、同一場所で埋設替えする場合、法32条の占用の変更許可として処理すべきか。

A 法32条3項の規定により占用の変更許可として処理します。占用更新申請が未提出の場合

Q 当初の占用

許可の基準

許可できる場合

道路管理者は道路の占用が、次の3つの要件を満たしている場合に限り、その占用を許可することができます(法33I)。

  • 道路の占用に係る物件が、法又は法施行令に掲げる占用物件に該当していること。
  • 道路の占用が、道路の敷地外に余地がないためやむを得ないものであること。
  • 占用の場所、構造等が、政令で定める基準に適合していること。

「敷地外に余地がないためにやむを得ない場合」の意義

「敷地外に余地がないためにやむを得ない場合」とは、単に地形上の事由のみではなく、社会的、経済的な事情等諸般の事情を考慮して、他に用地を取得することが著しく困難な場合であることをいいます。しかし、これらの事情は客観的な一般基準で決められるべきものであるため、道路管理者は、申請者の個人的な事情まで考慮する必要はありません。

許可の一般的基準

道路法は、許可の基準として前記3つのものを掲げていますが、これらの基準は、許可できる最低の基準であり、3つの基準に適合する場合であっても許可しないこともできます。

法が規定している3つの基準のほかに、道路管理者は、占用許可の判断にあたっては、次の3つの原則を十分に考慮しなければなりません。

  • 公共性の原則 一般に道路の占用は、一般国民の税負担により建設管理される公共用物である道路の使用であり、多少なりとも道路本来の使用である一般交通を阻害するものであることを考慮し、特定人の営利目的のため公共性のない占用は原則として認めるべきではなく、また、道路の占用相互間においては、公共性の高いものを優先させるべきです。

  • 計画性の原則 占用は、将来の道路計画はもちろんのこと、都市計画その他道路周辺の土地利用計画と調整されたものでなければなりません。

  • 安全性の原則 占用は、道路の構造及び交通に多少なりとも支障を及ぼすものではありますが、その支障は、最小限にとどめるべきものです。したがって、施行令に規定されている基準はもちろんのこと、規定されていない事項についても、道路の構造保全及び安全かつ円滑な交通の確保の面から、慎重な審査を行うべきです。特に、交通の安全を阻害する占用は、厳に排除すべきです。

許可の特例

以上の基準の特別なものとして、連結路附属地における占用の許可基準があります(法33Ⅱ)。

Q and A

NPO等の占用の特例の適用事例

Q: NPO等の占用の特例が適用された事例にはどのようなものがありますか。

A: 直轄国道の事例として、花壇について特例が適用された事例があります。地方道における実例としては、花壇、プランターについて特例が適用された事例もあります。

国等の行う事業のための占用

協議占用

国の行う事業のための道路占用については、事業者が道路管理者と協議すれば足ります(法35)。 道路の占用を国が行う場合には、これを「申請––許可」という関係にかからしめることは適当ではありませんので、相互に協議することとなっています。この協議により行う占用を一般に「協議占用」といいます。

国等の範囲

国の行政機関が行う事業のための占用は、その経理が一般会計、特別会計のいずれかで行われるか問わず、また、それが企業的性格をもっているか否かにかかわらず、すべて協議で処理されます。

協議

協議は、当事者の意思の合致によって成立する一種の公法上の契約です。協議で決定し得る事項は、許可の対象とされている事項(法32Ⅱ)のすべてに及びます。条件を付することももちろん、可能です。

協議事項の基準

協議事項である法32条2項各号に掲げる事項及び占用料に関する事項については、政令でその基準を定めることができることとなっていますが、この「政令」は未制定です。本条の政令が制定されるまでの間は、協議事項の基準を条例等で定め、これに基づき占用料の徴収等を行うことは差し支えありません。

公益事業のための占用

公益事業のための占用の特例

水道、電気、ガス事業等のための道路の占用、すなわち、いわゆる公益事業のための占用については、その特性(大量性、公益性)から2つの特例が設けられています(法36)。

一つ目は、公益事業のための占用が大量であり、かつ、道路交通及び構造に重大な支障を及ぼすものであることにかんがみ、工事の調整を図るため、工事計画書の提出を義務づけていることです。

二つ目は、事業の公益性にかんがみ、当該占用が施行令で規定する許可基準に適合する限り、道路管理者が許可を行わなければならないものとしていることです。

公益事業のための占用の範囲

特例が認められている公益事業のための占用は、水道法、工業用水道事業法、下水道法、鉄道事業法若しくは全国新幹線鉄道整備法、ガス事業法、電気事業法又は電気通信事業法の規定に基づき、水管、下水道管、地方鉄道、ガス管、電柱又は電線を設置する場合に限られています。したがって、水道管であっても、水道法に基づかない自家用のものは含まれません。

工事計画書の提出

水道、電気、ガス等の公益事業のために必要となる道路占用のための工事については、工事実施の1ヶ月前までに、道路管理者に工事計画書を提出しなければなりません(法36I)。道路管理者は、法34条に基づいて占用工事の調整権を持っており、この調整権に基づいて、いわゆる道路の掘削規制が行われているのですが、公益事業のための占用については、その大部分が掘削を伴うものであるだけに、工事計画書を1ヶ月前に提出させることによって、道路の掘削規制の方針に協力させるとともに、道路の工事や他の占用工事との調整を図り、道路の構造の保全等に関する適切な措置を講じ得るに必要な準備期間を設けています。

ただし、災害復旧工事及び軽易な工事(各戸引込管で道路を占用する部分の延長が20メートル以内のもの)については、その性質上計画書の提出を要しません。

許可の羈束性

公益事業のための道路占用について、前項の工事計画書に基づく占用の申請があったときは、道路管理者は、法33条1項に基づく政令(施行令9~17の2)で定める基準に適合する限り、許可を与えなければなりません。

一般に占用の許可は、自由裁量であるといわれていますが、この公益事業のための占用については、その公益性のために、許可が羈束されています。羈束されているとはいっても、政令で定める基準には、「道路の敷地外に、当該場所に代る適当な場所がなく、公益上やむを得ない場所であること」(施行令11·12)という要件が含まれているので、工事計画書に基づく占用であっても、道路の敷地外に余地がなく、やむを得ないものであるかどうかの審査権は、道路管理者に留保されています。また、法37条の規定、共同溝整備道路に関する規定等による制約があります。さらに、許可を与える場合であっても、法34条に規定する条件、法87条の規定による条件を付することは可能です。

監督処分

公益事業のための道路占用については、通常の占用と同じく、監督処分の規定(法71)が適用されます。しかし、その運用上は、事業の公益性にかんがみ、特別の配慮をすることが必要でしょう。

Q and A

公益事業のための占用に関する協定締結

Q: 公益事業のための占用、例えば電力会社の行う道路占用について、占用申請の手続、占用期間、占用条件、道路の復旧方法、占用物件の移転費用等について、道路管理者との間に協定を締結し、これら大量占用を画一的に処理することはどうか。

A: 現在本省段階での協定はありませんが、各道路管理者において協定を締結し、処理することは可能です。

公益事業の占用許可の条件

Q: 道路管理者は、法36条2項により許可を与えなければならないとされている場合においても、許可の際、必要な条件を付することができると解してよいか。

A: 法36条物件をいわゆる羈束裁量物件と呼ぶが、同条が法34条、87条の規定を排除するものでないことは明らかです。

占用の手続

占用の申請

占用許可を受けようとする者は、道路管理者に申請書を提出しなければなりません。この申請書には、占用の目的、占用の期間、占用の場所、占用物件の構造、工事実施の方法、工事の時期、道路の復旧方法の各事項を記載しなければなりません(法32Ⅱ)。占用の変更の許可を受けようとする者も、同様です(法32Ⅲ)。

具体的な申請書の様式については施行規則4の3で定められ、添付書類、提出時期、提出部数、提出先等については、各道路管理者がそれぞれ定めています(「地方建設局長が行う道路の占用許可の手法について」(昭和42年8月28日道政発47号、「「同上」の運用について」同48号等参照)。

なお、許可を受けようとする行為が、道路交通法77条1項(道路の使用の許可)の規定の適用を受けるものであるときは、当該申請書は警察署長を経由して提出することができることとなっています(法32IV)。

占用許可

申請を受理した道路管理者は、占用許可基準等から申請を審査し、許可または不許可の判断をし、申請者に通知します。この通知は、許可書または不許可通知書により行われます。許可書等の様式は、それぞれの道路管理者ごとに規則または通達で定められています。これに対しては、行政不服審査法による不服申立てをすることができます。

また、許可申請書受理後3ヶ月を経過しても何らの処分をしないときは、不許可処分があったものとみなして、不服申立てをすることができます(法96V)。

警察署長との協議

占用を許可しようとする場合において、許可に係る行為が道路交通法77条1項の適用を受けるものであるときは、道路管理者は、あらかじめ管轄の警察署長と協議しなければなりません(法32V)。

道路交通法では、次の各号に該当する者は、警察署長の許可を受けなければなりません(道交法77I)。

  • 道路において工事若しくは作業をしようとする者または当該工事若しくは作業の請負人
  • 道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする者
  • 場所を移動しないで、露店、屋台店等を出そうとする者
  • その他都道府県公安委員会の定める行為、例えばデモ行進等をしようとする者

この協議は、許可権者と警察署長との間で書面により行われるのが通常ですが、道路工事調整協議会等において、口頭でなされている場合もあります。

協議占用の手続

国等の行う事業のための占用、すなわち、協議占用については、「申請–許可」を「協議-同意」に置き換えれば、以上述べたところとほぼ同様です(法35)。

なお、警察署長との協議は、法定されていませんが、同様な取扱いをすることとして運用するのが合理的です。

Q and A

占用規則の制定

Q 占用の手続に関する申請書の様式、添付書類の範囲、申請書の経由、提出部数等については、都道府県の規則で定めて処理してよいか。

A 申請者に不当な義務を課すものではありませんので、道路法を実施するため規則を制定して処理して差し支えありません。

道路管理者の変更と占用

Q 従来市道であったものが県道として認定され、それに伴い道路管理者の変更があった場合、占用許可の取扱いはどうすべきか。

A 占用許可は、新たな道路管理者が改めて行うべきですが、当該道路の構造、利用状況等を勘案して支障がなければ、従前の許可期間中は当該占用許可を有効として取扱って差し支えありません。ただし、更新等今後の取り扱いに支障が生じないよう道路管理者の異動について占用者に速やかに連絡する必要があります。

占用に関する工事の施行

占用に関する工事の意義

占用に関する工事とは、占用物件を設置するための工事のみならず、修繕、改築及び占用期間満了後の原状回復のための工事をも含むです。また、この工事には、道路区域内で行われるものに限らず、占用物件を道路区域外に移転する工事も含まれます。

施行者

占用に関する工事は、占用者の利益を目的とするものであるから、占用者が行うのが原則です。ただし、次の場合には、道路管理者が占用に関する工事を行うことができます。

  • 道路の構造を保全するために必要があると認められる場合(法38I)
  • 道路占用者からの委託があった場合(法38I)
  • 道路に関する工事により又は道路に関する工事を施行するために必要な場合(附帯工事との関係、法23I)

費用負担

占用に関する工事に要する費用は、占用者が負担します(法62)。法38条1項の規定により道路管理者が工事を行う場合も、同様です。ただし、法23条1項の規定により道路管理者が工事を行う場合においては、占用の許可(協議)条件に特別の定めがある場合を除き、道路管理者が費用の全部又は一部を負担します(法59I)。

工事実施の方法等

占用に関する工事の実施方法、実施時期、道路の復旧方法、占用の場所等については、施行令9条から17条までに規定されています。これらの事項については、必要によりさらに許可(協議)条件を附することができます(法87)。

なお、道路を不経済に損傷し、又は交通に著しい支障を及ぼさないため、他の占用に関する工事等との調整を必要とする場合には、許可に際して必要な条件を附することができます。この場合には、関係道路占用者の意見を聞かなければなりません(法34)。

法令等に違反した工事施行を行った者に対する措置

法令又は許可条件に定められた工事実施方法等に違反している者に対しては、占用許可を取り消し、又は工事中止命令等を発することができます(法71I)。

罰則

道路管理者の中止命令等に従わなかった者は、100万円以下の罰金に処せられます(法1024)。

Q and A

道路管理者が占用物件を区域外に移転すること

Q 道路管理者は、道路区域内にある占用物件を道路区域外に移転する工事を、法38条に規定する「道路の占用に関する工事」として行うことができるか。

A 占用物件を道路区域外に移転する場合でも、占用工事として法38条の適用があります。

占用工事を道路管理者が実施する場合の通知

Q 法38条2項に規定する「通知」はどのような方法がよいか。

A 法令上特別の定めはありませんが、文書により行うことが望ましいです。

占用者から工事の委託があった場合の取扱い

Q 道路管理者は、道路の占用者の委託があった場合、占用工事を行うか否かの自由裁量権を有すると解してよいか。

A 委託の本質は依頼又は請願であり、その要否は道路管理者の判断で処理すればよいです。

掘り返し規制の閣議了解との関係

Q 地下埋設工事等による道路の掘り返し規制については、昭和37年10月23日の閣議了解があり、これにより規制を強化しているが、この閣議了解と公益事業のための占用が羈束されていることとの関係は、いかに考えるべきか。

A 道路の掘り返し規制に関する緊急措置(昭和37年10月23日閣議了解)は、公益事業のための占用工事にも適用があることはいうまでもありませんが、この措置においては、関係機関との緊密な連絡により、先行工事の実施をも含めた工事調整を図ることを本来の目的とするものであって、法36条の羈束裁量との抵触は生じません。なお、「地下埋設工事等による道路の掘り返しの規制およびこれによる事故の防止に関する対策要綱」(昭和45年10月5日事務次官等会議申合せ)を参照してください。

道路上の工事

Q 道路上で工事を行うのは、道路を特別に使用しているので、占用と考えてよいか。

A 道路の占用は、道路に一定の工作物、物件、又は施設を設け、継続して道路を使用することをいい、単に道路上で作業又は工事をするのみでは、占用にはなりません。しかし、道路上の作業又は工事であっても、占用物件を設置修繕・改築及び原状回復をするためのものは、占用に含まれています。

仮設道路の管理責任

Q 占用工事に伴い築造する仮設道路について道路管理者に管理責任はあるか。

A 仮設道路が実態上現道の代替道路としての性格を有する以上第三者との間において、道路管理者が管理責任を免れることはできません(ただし、占用者に対する求償権は行使できます)。

占用工事と舗装工事の同時施行と費用負担

Q 道路管理者の施行する舗装工事に先行して占用工事を行う必要があり、かつ、占用工事がふくそうしているため道路の構造を保全する必要があって道路管理者が占用工事と舗装工事を同時施行する場合、その費用負担はどうするか。

A 道路管理者は、舗装工事に要する費用を負担し、占用工事による費用は各占用者から、掘削断面及び影響断面を勘案した負担割合により徴収します。

占用料

占用料徴収の根拠

道路管理者は、道路の占用につき占用料を徴収することができます(法39Ⅰ)。

ただし、次のものについては、占用料を徴収できません。

  • 一般会計をもって経理する事業
  • 特別会計をもって経理する事業のうち、企業的性格を有しない事業で、国有林野事業(治山事業を除く。)以外の事業(施行令18、施行規則4の5)
  • 地方公共団体の行う事業で、地方財政法6条に規定する公営企業以外の事業

占用料の額及び徴収方法は、道路管理者である地方公共団体の条例(指定区間内の国道にあっては政令)で定められています(法39Ⅱ)。

なお、高速道路会社等の管理する道路にあっては道路整備特別措置法33条、開発道路にあっては開発道路に関する占用料等徴収規則で定められています。

指定区間内の国道の占用料

指定区間内の国道の占用料の額及び徴収方法は、施行令19条及び19条の2に定められています。

占用料の強制徴収

占用料を納付しない者がある場合は、道路管理者は、督促状によって納付すべき期限を指定して督促しなければなりません(法73I)。

占用料を納付しない者がある場合においては、道路管理者は、条例(指定区間内の国道にあっては政令)で定めるところにより、手数料(督促状一通につき郵便法21条Ⅰに規定する通常葉書の料金を超えない範囲内において国土交通大臣の定める額)及び延滞金(負担金等が1、000円以上である場合に徴収可能。納付すべき期日の翌日から負担金等の納付の日までの日数に応じ負担金等の額に年10.75%の割合を乗じて計算した額)を徴収することができます(法73Ⅱ、令37Ⅰ·Ⅱ)。

督促状で指定した期限までに占用料を納付しない者がある場合には、道路管理者は、国税滞納処分の例により、負担金等、手数料及び延滞金を徴収することができます(法73Ⅲ)。

ただし、これらを徴収する権利は、5年間で時効により消滅します(法73V)。

Q and A境界地の道路の占用料

Q: 境界地の道路について、関係道路管理者が協議して管理方法を定めた場合に、占用料の額及び徴収方法等については、どちらの管理者の条例の規定に従うべきか。

A: 本来の道路管理者の側の条例の規定に従うべきです(昭和27年12月5日道発420号)。

境界地の道路の管理協定を結んだ場合の占用料

Q: 境界地の道路について、関係道路管理者が協議して管理方法を定めた場合に、占用料はその徴収権限を行使した者の収入となると解してよいか。

A: 解してよいです(昭和27年12月5日道発420号)。

鉄道の占用料

Q: 鉄道との交差の場合、鉄道から占用料がとれるか。

A: 相互無償の考えから占用料は免除することができます(施行令第19条第3項)。

道路占用許可申請手数料の徴収

Q: 占用料とは別個に、道路占用許可申請手数料を徴収することができるか。

A: 地方自治法に基づく条例で定めれば徴収できます。

行政区画変更に伴い道路管理者が変更した場合の占用料

Q: 行政区画等の変更等があった場合で、編入地についての編入年度に係る占用料の徴収方法等に関し、特別の規定が条例等において設けられていないとき、新旧道路管理者が協議して占用料の帰属を決定することができるか。

A: 協議で定めて差支えありません。横断電線の占用料

Q: 道路を横断する電線について、占用料を徴収することは可能か。

A: 占用料を徴収しない方針で処理しています(「道路法施行令及び道路整備特別措置法施行令の一部を改正する政令の施行について」昭和42年11月13日道政発90号)。

不法占用物件の占用料

Q: 不法な占用物件から占用料又はこれに代わるものがとれるか。

A: 徴収できません。占用許可という行政処分が存在しない以上占用料徴収もあり得ません。道路管理者の損失が明らかな場合には占用料相当額を不当利得として返還請求すること(民法703)がこれにかわる負担として考えられます。また道路法上不法占用者に対する制裁処分として罰則が規定されています(法1001)。

占用料徴収の始期

Q: 占用料徴収の始期はいつか。

A: 占用料は道路管理者から与えられたいわゆる占用権に対する対価として徴収するものであり、物件の事実上の設置によるものではありません。よって占用料の徴収始期は占用許可(協議)により認められた占用期間の始期を占用料徴収の始期とすべきものと考えます。

遅延利息

Q: 延滞金(法73Ⅱ、施行令37)のほかに、更に遅延利息(民法404-5%)を請求できるか。

A: 延滞金(当該督促に係る占用料の額が1、000円以上である場合に限り徴収するものとし、その額は、納付すべき期限の翌日から占用料の額に年10.75%の割合を乗じて計算した額とする。)の利率からみても、それは遅延利息と制裁課徴金の両方の性格を有するものとみるのが妥当ですから、否定的に解すべきものであると考えます。

地下鉄の占用料

Q: 地下鉄に占用料を課して差し支えないか。

A: 地下鉄については、軌道法に基づいて敷設する場合も鉄道事業法に基づく敷設も、機能上の差異はなく、公共性の高い道路交通補完機能を有していること、軌道法に基づく場合は占用料徴収がされていないこと等から、鉄道事業法に基づく場合は、地表部分の施設(出入口、通風孔等)を除いて、占用料は徴収しない方針で運用されています(「道路法施行令及び道路整備特別措置法施行令の一部を改正する政令の施行について」昭和42年11月13日道政発90号)。なお、国、地方公共団体等からの出資比率にかんがみ、減額することもできます。

占用廃止と占用料

Q: 占用者が任意に占用を廃止した場合、占用料はどう取扱うべきか。

A: いったん納入された占用料は占用者が任意に占用を廃止しても返還しません。納入済の占用料を占用者に返還するのは法71条2項により占用の許可を取消す場合のみです(施行令19の2Ⅱ)。これは、指定区間外の国道及び地方道についても同様と解すべきです。

占用料滞納者に対する許可の取消し

Q: 占用料が納付されない場合、道路管理者は督促、強制徴収と併せて占用許可を取消すことができるか。

A: 占用料を納付しないことは、占用許可の条件を履行しないことであり、道路管理者は、強制徴収と併せて法71条1項に基づく監督処分として占用許可を取消し、道路を原状に回復することを命ずることができます。

地下街等特殊占用物件

地下占用

地下街、地下室、地下通路その他これらに類する施設の占用(以下「地下占用」といいます。)は、原則として地下交通の緩和的施設に限ることとします。

地下占用については、道路交通及び道路の構造に及ぼす影響が大きいため、事前に当局に協議すること(地下通路を除く。)。

高架道路の路面下及び道路予定区域の占用

高架下等の占用は、まちづくり等の観点からその有効活用が必要と認められる場合、かつ、道路管理上支障がないと認められる場合には、占用を認めて差し支えありません。

公共的ないし公益的な利用を優先します。

適正かつ合理的な土地の利用を図る必要があると認められる高架下等について、道路管理者は、必要に応じ、高架下等利用計画を策定します。

高架下等利用計画を策定するにあたっては、関係する他の道路管理者、地方公共団体、学識経験者等から構成される高架下等利用計画検討会を開催し、意見を聴取します。

高架下等利用計画においては、高架下等の利用用途、占用主体等に関する事項を定めます。

高架下の占用は、道路管理者に代わり橋脚等の道路構造物の日常的な点検等を適確に行うことができる者を占用主体とします。

道路予定区域の占用は、占用物件の構造や占用期間について、将来の道路事業の施行に支障とならないように留意します。

アーケード

基本方針

アーケードの占用は、防火、交通及び衛生上の弊害を伴うものであるため、抑制の方針をとるものとします。

関係機関との連絡

道路管理者、建築主事、警察署長及び消防長又は消防署長からなる連絡協議会を設け、各機関の意見が一致した場合に限り、占用を認めるものとします(昭和30年2月1日国消発72号、発住5号、警察庁発備2号、国家消防本部長、建設事務次官、警察庁次長通達参照)。

上空通路

基本方針

道路の上空に通路を設けることは、安全上、防火上、衛生上その他都市計画的見地からいろいろ問題が多いため、みだりに設置を認めないものとします。

関係機関との連絡

道路管理者、特定行政庁、警察署長及び消防長又は消防署長からなる連絡協議会を設け、各機関の意見が一致した場合に限り、占用を認めるものとします(昭和32年7月15日発住37号、国消発860号、警察庁乙備発14号建設事務次官、国家消防本部長、警察庁次長通達参照)。

高速自動車国道又は自動車専用道路に設ける休憩所、給油所及び自動車修理所

高速自動車国道又は自動車専用道路の円滑な交通を確保するために必要な利用者サービスを提供する公共性の高い施設のみ、認めるものとします。

なお、占用許可にあたっては、本省と事前協議を必要とします(昭和42年11月14日道政発91号道路局長通達参照)。

Q and A

仮設日よけの取扱い

Q 「アーケードの取扱について」(昭和30年2月1日建設事務次官、警察庁次長等共同通達)では、夏季(6月~9月)に仮設的に設ける日よけについては、特例が設けられていますが、年中季節を問わず占用されるものの取扱いはどうすればよいでしょうか。

A 特例の適用はありません。一般基準によるべきです。これに適合しないものは、不法占用物件として処理すべきものと考えます。なお、各商店が個々に設ける小規模の日よけは、同通達の適用外ですが、同通達中の「アーケードの設置基準」制定の趣旨にかんがみ、極力抑制すべきです。

高架下の占用

Q まちづくりや賑わい創出等の観点から必要となる、高架下の占用をどう取り扱うべきでしょうか。

A 高架下の占用は、道路管理上及び土地利用計画上十分検討し、他に余地がないため必要やむを得ない場合に限って認められているものですが、まちづくりや賑わい創出等の観点からその有効活用が必要と認められる場合には、道路管理上支障があると認められる場合を除き、当該高架下の占用を認めてもよいです。

不法占用物件の取扱い

不法占用物件の種類

大別して不法占用物件には、次のような種類があります。

  • 当初より無許可占用であるもの。
  • 占用の期間満了後なお占用を継続しているもの。
  • 占用の許可の取消しがあったもの。

不法占用物件に対する措置

不法占用物件については、法71条により、工事の中止、移転、除却命令等を発し、必要があれば行政代執行法による代執行の手続をとって、違法状態を除去しなければなりません。

不法占用物件除去に伴う補償

不法占用物件については、補償を必要としません。特別の事情がない限り、占用者に通常受けるべき損失を補償しなければなりません(法72Ⅰ)。

旧道路法により許可を受けた家屋等

旧道路法により許可を受けて道路を占用している家屋等については、当初の占用目的、占用物件の構造等から総合的に判断して、当該物件の占用目的を達成するために必要な期間内に限り、適法な占用物件として認めることができます。なお、その期間内においては、占用の期間更新を認めることができます。

不法占用の防止

道路上に不法占用物件が存在することは、道路の構造の保全または交通の危険防止の観点から望ましくありません。道路管理者は、不法占用物件が設置されないよう十分監督しなければなりません。不法占用物件の設置を未然に防止するためには、道路パトロールを密に行うなど道路管理体制の強化を図らなければなりません。また、不法占用物件の設置が着手された段階で、速やかに監督処分を行うことが必要です。

罰則

道路を不法に占用した者は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます(法1001)。さらに、道路管理者の除却命令等に従わなかった者は、100万円以下の罰金に処せられます(法1024)。悪質な場合には、不動産侵奪罪(刑法235の2-10年以下の懲役)が成立することもあり得ます。悪質な違反者に対しては、告発の手続をとるべきです。

道路予定地

道路予定地の場合にも同様です。

Q and A

占用者の倒産等により放置された占用物件

Q: 占用者が倒産した等により占用物件が放置されている場合にはどのような措置が可能か。

A: 占用物件が放置されることにより道路の構造または交通に何らかの支障が発生した場合は、法第75条第1項により必要な措置の指示を行うことができますが、構造または交通への支障の発生が予見されるにすぎない場合は、法第75条第1項による指示はできません。なお、道路の構造または交通への支障が著しく、道路管理者に過失なく措置を命ずべき者を確知できない場合には、同条第3項の手続により、略式の代執行を行うことができます。

他の法律との関係

軌道法

軌道の経営につき主務大臣の特許を受けた者は、軌道敷設に要する道路の占用につき、道路管理者の許可又は承認を受けたものとみなされます(軌道法4)。

なお、特許の申請書には、道路管理者の意見を添えて提出することとされています(同法施行令1~3)。

鉄道事業法

鉄道事業法では、軌道法4条のような規定がなく、道路に敷設することについて主務大臣(国土交通大臣)の許可を受けた後に(鉄道事業法61条)道路の占用について道路管理者の許可を要します。

駐車場法

都市計画として決定された路外駐車場の用に供するため、道路の地下の占用許可申請があった場合は、当該占用が法33条の規定に基づく政令で定める技術的基準に適合する限り、占用の許可を与えなければなりません(駐車場法17)。

道路運送法

自動車道事業者が設ける自動車道が、道路に接続し、近接し、又は横断することにより当該道路を占用する場合には、道路の効用を妨げない限り、占用を許可しなければなりません(道路運送法74Ⅱ·75Ⅲ)。

共同溝の整備等に関する特別措置法

共同溝整備道路として指定された道路の車道部分の地下の占用は、一定の場合を除き禁止されます(共同溝の整備等に関する特別措置法4)とともに、共同溝の占用に関し、道路法の特例を定め、道路法3章3節の規定は適用されません(同法28)。

なお、電線共同溝の整備等に関する特別措置法にも同様の規定(同法9·29)があります。

道路交通法

道路交通法では、道路上で工事又は作業をし、広告板、アーチ等を設置し、露店、屋台店を出す等の行為をしようとする場合、警察署長の道路の使用の許可を要するものとされており(道路交通法77I)、道路占用の許可と競合する場合があります。

この場合における両者の調整については、第9章第7節(4)を参照してください。

その他

以上のほか、道路の使用関係に対する規制として、道路内の建築制限(建築基準法44等)、広告物等の制限(屋外広告物法3~6)等があります。

Q and A

警察署長との協議なしで行った許可の効力

Q 警察署長との協議をなすべき占用申請について、協議しないでした許可の効力はどうでしょうか。また、協議はしたが、協議が整わないままでした許可の効力はどのようなものでしょうか。

A 協議しないで行った許可は、ただちに当然無効な処分ではありませんが、法定の手続を欠く「瑕疵ある行政処分」として、取消しうる行政行為といえるものと解されます。また、協議が整わないままでした許可についても当然には無効ではありませんが、占用の実態上の効果は、道路交通法77条の道路使用許可がなければ発揮できない(本来道路法32条5項の協議は、同一行為について処分の権限を有する道路管理者と警察署長との行政判断の事前調整を目的とするものです。)から、法は協議が整わない占用許可処分は予定していないものと解すべきです。

道路交通法77条1項の工作物

Q 道路交通法77条1項2号の「その他これらに類する工作物」は、一時的に設置されるものに限られるべきであり、電柱、広告塔等は含まれないと思いますが、どうでしょうか。

A 道路交通法77条1項2号の「その他これらに類する工作物」は、例示のものに似たもので、その工作物が道路に設置されることにより、交通の妨害となるおそれのあるものをいい、電柱、広告塔も含まれると解されています。電柱、広告塔は、その設置の際道路における工事を必要とするので、同法77条1項1号の適用もあり道路使用許可の対象となります。

不法な公職選挙ポスターの取扱い

Q 道路敷地に道路管理者の承認を得ず公職選挙ポスターが設置された場合、道路管理者はどうすればよいでしょうか。

A 選挙ポスターの扱いについては、選挙管理委員会及び警察機関と連絡を密にし、3者間でその取扱いを定めておくべきですが、その取扱いを定めていない場合には、選挙管理委員会を通じ、撤去するよう申し入れることが望ましいです。

占用許可及び占用の更新に際する警察署長に対する協議

Q 法32条5項に規定する警察署長に対する協議は、口頭で行うことができるでしょうか。また、占用の更新の許可を与える場合に、道路管理者は警察署長に協議する必要があるでしょうか。

A

  1. 協議は文書ですることが望ましいですが、緊急の場合(水道漏れ修繕等)は口頭ですることもできるものと解されます。
  2. 道路交通法77条の許可は行為についてなされるものですから、工事等の新たな行為のない更新の協議は、一般的には必要ありませんが、最初の許可に際して更新が予定されていなかった場合、最初の許可以降、交通環境に大きな変化があった場合等においては、道路管理者の道路交通上の判断を補完する意味で協議する必要があるでしょう。

道路使用許可の取消し

Q 警察署長が、道路使用許可を与えたものを、道路管理者側の理由により取り消さなければならない場合、警察署長に取消要求ができるでしょうか。また、その場合の補償はどうするでしょうか。

A

  1. 当該使用許可に係るものが道路占用許可に係るものでもある場合には、両者で協議したうえでそれぞれの許可を取り消すべきです。
  2. 当該使用許可に係るものが占用物件でない場合には、道路交通法77条5項による措置を求めることができます。
  3. 道路交通法上の許可の取消しについては、補償は考えられていません。