道路の占用
道路の特別使用
道路は、本来一般交通の用に供されるものですが、他方、道路を根幹として生活圏が形成され、公的または私的な諸活動が展開されるために道路を本来的な用法以外に生活の場として利用する関係が生じます。これが、道路の特別使用と呼ばれるものであり、道路の占用です。
占用の定義
道路の占用とは、道路に一定の工作物、物件または施設(これを「占用物件」といいます。)を設け、継続して道路を使用することをいいます(法32)。
この場合において、「道路」の範囲は、横の関係では道路区域の範囲であり、縦の関係では、路面を中心にその上下に及びます。上下は無限ではありませんが、道路の管理上必要な範囲に限られます。この範囲について道路管理権が及びますが、所有権の及ぶ範囲と同じく、社会通念上支配可能な範囲と考えてよいです。
「継続して」とは、使用状態に相当程度の固定性が備わればよく、1回の使用が長時間継続する必 要はありません。例えば、屋台店のように、1回の時間は短くても反復性、固定性があるものは、「継続して」に該当します。
占用の種類
道路の占用は、道路管理者の許可を受けて行う「許可占用」と、道路管理者と協議して行う「協議占用」に区分されますが、「許可占用」のうちでも水道、電気、ガス事業等のための占用いわゆる「公益事業占用」––は、特別な取扱いを受けています(これを「義務占用」と呼ぶこともあります。)。これについては後述第6節を参照してください。
占用の性質
一般に道路の使用関係は、その使用形態によって一般使用と特別使用に区別され、特別使用については、その使用が認められる法律上の性格から、一般的な禁止を特定の場合に解除する「許可使用」と、特定の使用権を設定する「特許使用」とにさらに分類されます。道路交通法の道路使用許可(同法77)は、「許可使用」です。しかし、道路の占用は、許可使用とは異なり、道路上に一定の施設を設け、当該道路を継続して使用する権利を設定するものであり、「特許使用」に該当します。