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道路管理者

「道路管理者」とは、道路の管理権限ないしは管理行為を行う者です。

各道路の道路管理者

なお、実際の道路管理は権限の代行や委任によって道路法が定義する道路管理者とは異なる場合があります。このため、道路法が定義する道路管理者を「本来道路管理者」と称することがあります。

歩道の新設等の特例

指定市以外の市町村は、当該市町村の区域内の指定区間外の国道又は都道府県道の整備又は管理のうち、地域住民の日常生活の安全性、利便性及び快適性の観点から必要な歩行空間等の整備を、都道府県に協議し、同意を得て行うことができる(道路法第17条第1項)。

なお、指定市以外の市町村が国道又は都道府県道の新設、改築、維持又は修繕を行おうとするとき、及びその全部又は一部を完了したときは、その旨を公示しなければなりません(道路法第17条第4項・第5項)。

高速自動車国道の管理者

高速自動車国道の管理者は、国土交通大臣です(高速自動車国道法第6条)が、現在は、独立行政法人日本高速道路保有·債権返済機構(以下「機構」という。)と高速道路株式会社がその権限の一部を代行することができます(道路整備特別措置法第8条第9条)。

道路管理者の責務

道路管理者は、道路法上の道路において、安全かつ円滑な交通の確保を図るため、さまざまな責務を有しています。

その内容は、供用中の道路に関して行われる適正な道路占用の確保(道路法第32条第34条)、道路の保全(道路法第42条第48条等)等の管理行為のみでなく、道路の成立から廃止に至る各段階において、それぞれ固有の責務があります。

道路管理者の損害賠償責任

道路管理者は、交通需要に応じて完備した道路を提供する責務を負い、道路法第29条に規定される道路の構造の原則に基づき、安全かつ円滑な交通を確保できる道路を提供しなければなりません。

したがって、道路の管理につき瑕疵があり、道路が通常有すべき安全性を欠いていたために他人に損害を与えた場合には道路管理者はその賠償の責任を負います(国家賠償法第2条)。

道路交通に関する情報の提供

道路交通の著しい伸長に伴い、道路利用者が道路の交通に関し正確な情報をすばやく知ることは、安全かつ円滑な道路交通の確保を図る上で必要不可欠です。

道路管理者は、道路交通法第1条によれば、道路交通に対するサービス水準の向上に対する要請と、安全かつ円滑な交通を確保するという趣旨を考慮し、できる限り、あらゆる機会を利用して道路に関する情報の提供に努めることが望ましいです。

道路管理者の権限の行使

道路管理者が道路の新設、改築、維持、修繕その他の管理に関し有する諸権限は、道路管理者固有の権限であり、他のものが関与しないのが建前です。

権限の代行又は委任

このような道路管理者の権限の行使の原則に対する例外として、道路法及び関係諸法令は、道路管理者の権限の代行または委任の制度を数多く認めています。

道路管理者相互の関係

道路法では、適切な道路の管理が行われるように、道路管理者相互の関係についての調整規定を設けています。その内容を概観すると、次のとおりです。

  1. 都道府県知事が認定しようとする都道府県道の路線が、指定市の区域内に存する場合においては、都道府県知事は、当該指定市の長の意見を聞かなければならない(道路法第7条第3項)。
  2. 二以上の都道府県の区域にわたる都道府県道については、関係都道府県知事は、協議の上それぞれの議会の議決を経て路線を認定しなければならない(道路法第7条第4項)。
  3. 市町村長は、特に必要があると認める場合においては、当該市町村の区域を超えて市町村道の路線を認定することができるが、この場合においては、当該市町村長は、関係市町村長の承諾を得なければならない(道路法第8条第3項)。
  4. 道路の種類を異にする路線が相互に重複する場合には当該道路の種類に応じて次のように道路法の規定が適用される(道路法第11条)。
    • 国道と都道府県道又は市町村道が重複する場合には、国道に関する規定が適用される。
    • 都道府県道と市町村道とが重複する場合には、都道府県道に関する規定が適用される。
  5. 指定市以外の市は、都道府県と協議し、その同意を得て、当該市の区域内に存する国道の管理で当該都道府県が行うべきもの及び当該市の区域内に存する都道府県道の管理を行うことができる(道路法第17条第2項)。
  6. 都道府県が指定区間外の国道の管理を行う場合において、国道の修繕又は災害復旧に関する工事が都道府県の区域の境界に係る場合には、関係都道府県はあらかじめ協議しなければならない(道路法第13条第4項)。
  7. 地方公共団体の区域の境界に係る道路について、関係道路管理者(国土交通大臣である道路管理者を除く。)は、協議して別にその管理の方法を定めることができる(道路法第19条第1項)。
  8. 道路管理者の権限の代行が認められている(道路法第27条等)。

道路管理者間の協議

道路管理者相互の関係については、道路法は、上述の場合を除き、明確な規定を設けず、専らこれを道路管理者間の協議に委ねています。したがって、例えば、道路の改築(バイパスの建設)を行うに当たり、他の道路と交差することとなる場合には、当該交差の方式のいかんにかかわらず、道路管理者は、あらかじめ他の道路の管理者と十分協議することが必要です。

前述の場合等、関係道路管理者間の協議が成立しない場合には、国土交通大臣または都道府県知事の裁定が認められています(道路法第7条第5項第13条第5項第16条第3項第19条第3項)。