安全管理計画
安全管理計画の意義
工事現場において事故が発生し、施工中の構造物が損傷を受けたり、作業員や第三者に負傷者や死者が出るなどすると、関係機関への届出や説明、原因の究明、構造物の補修、工事のやり直しなどで工期が大幅に遅延し、さらには営業活動の停止処分や損害賠償など、企業として大きな経済的損失を受けるだけでなく、イメージダウンにもなる。
そのうえ、直接、間接に、その工事目的物のユーザーなどに社会的損害を与えることになる。したがって、安全管理は、土木施工管理の中でも、工事の成否を決する重要な管理のひとつである。
安全管理計画立案の基本
工事現場において、作業員の安全および良好な労働条件を確保し、快適な作業環境の形成を図るために、労働基準法、労働安全衛生法等の関係法令を遵守するとともに、「土木工事安全施工技術指針」、「建設工事公衆災害防止対策要綱–土木工事編–」などに基づき、工事の安全に留意し、労働災害の防止に努めなければならない。
また、安全管理は施工計画とも不可分であり、安全管理計画の策定にあたっては、次の事項に留意しなければならない。
- 安全管理に関する法令等を遵守すること。
- 施工条件、施工内容を熟知し、総合的な視野から安全管理方策を立案すること。
- 工事に関する関係機関等との協議・調整内容を十分把握し、安全管理計画に反映させること。
- 工事現場内だけでなく、現場外近傍の第三者の災害防止にも十分留意すること。
- 常時および非常時の安全管理に関する現場組織および業務分担、連絡・指揮命令系統を明確にしておくこと。
安全管理計画の主な内容
安全管理計画について検討する場合の主な項目は、次のとおりである。なお、詳細については、「第5章安全管理」を参照されたい。
- 安全管理の目標の設定(標語など)
- 現場における安全訓練・教育の方法
- 安全管理活動(安全点検、安全巡視、安全ミーティングなど)の方法
- 建設機械・設備などの安全点検方法
- 各種工種、種別ごとの作業の安全対策
- 仮設施設の設計と安全度の確認
- 現場周辺の安全対策(交通安全管理など)
- 常時および非常時の安全管理体制(役割分担、連絡体制、指揮命令系統など)
安全管理体制
安全管理に関する体制の整備は特に重要であり、法 令等にしたがって安全衛生を推進するためには、そのための組織と担当者や役割分担を明らかにしてシステマティックに取り組む必要がある。
しかし、専任の安全衛生管理担当者を配置することは一般には困難なので、工事現場の安全管理を有効に機能させるために、施工内容を熟知している工事の実施組織の構成員が安全衛生管理組織のスタッフを兼任することが適当である。
安全管理に関する法令では、工事現場における統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者、安全衛生責任者、各種の作業主任者などを工事現場の規模に応じて選任することとされている。
交通管理計画
工事現場およびその周辺には多くの工事用の特殊車両などが頻繁に通行し、自動車や歩行者の交通安全に大きな影響を及ぼす。したがって、工事に伴う交通処理や交通対策については、交通管理計画として明確にしておく必要がある。
- ダンプトラック等大型貨物自動車による工事用資機材等の輸送計画
- 地元関係機関との協議内容と担当者
- 交通安全に関する協議内容と担当者
- 輸送担当業者
- 輸送経路および輸送方法
- 輸送期間
- 交通誘導員の配置方法
- 標識・安全施設等の設置場所
- その他安全輸送上必要な事項
- 工事現場内の交通安全施設や案内標識の配置計画および交通整理員の配置計画
- 迂回路を設ける場合は、迂回路の位置、交通安全施設や案内標識の配置 方法および交通整理員等の配置計画
- 過積載に対する防止策
過積載とは、ダンプトラック、トラックなどの自動車に定められた重量の限度を超えて貨物を運搬することをいい、次の2つの場合がある。
- 最大積載重量の超過(道路交通法違反)
- 最大積載重量は、車検証に値が記載されており、ダンプトラックや大型トラックで10~12t程度である。
- 車両総重量の超過(道路運送車両法違反)
- 車両の最大総重量は、軸距(ホイールベース)に応じて20tないし25tとなっており、軸距が短いダンプトラックなどでは20tである。
緊急時の安全管理体制
大雨、強風などの異常気象および地震による災害などの緊急時に備えた安全管理体制と指揮連絡命令系統並びに備蓄資材や応急処置のための資機材の調達方法に関する計画を明確にしておく必要がある。
大雨、強風などの異常気象により災害発生のおそれがある場合は、工事を中止し、現場の整理を行って、必要に応じて現場パトロールを行い、警戒にあたる。また、地震予知情報が発令された場合には、直ちに工事を中止し、現場の整理を行って避難体制をとる。また、責任者は、この処置を確認するものとする。