災害予防計画
災害予防計画の定義
1. 災害予防計画の定義と基本理念
防災基本計画において、わが国は災害予防段階における基本理念を以下のように定めています。
- 災害の規模によっては、ハード対策だけでは被害を防ぎきれない場合もあることから、ソフト施策を可能な限り進め、ハード・ソフトを組み合わせて一体的に災害対策を推進する。
- 最新 の科学的知見を総動員し、起こり得る災害およびその災害によって引き起こされる被害を的確に想定するとともに、過去に起こった大規模災害の教訓を踏まえ、絶えず災害対策の改善を図ることとする。
すなわち、科学的知見に裏付けられた被害想定や過去の教訓を踏まえ、災害対策の改善を図ることを前提として、ハード対策とソフト対策を組み合わせた一体的災害対策施策を講じています。このことは、総合的災害リスク管理が目指されていると言い換えることもできるでしょう。
具体的な施策としては、以下の点から成る施策を挙げています。
- 災害に強い国づくり、まちづくりを実現するための各種対策
- 事故災害を予防するための安全対策の充実
- 国民の防災活動を促進するための防災教育や環境整備
- 防災に関する研究および観測等の推進
- 発災時の災害応急対策、その後の災害復旧・復興を迅速かつ円滑に行うための事前準備
これらの施策は、「被害抑止・軽減」に関わる諸施策や「事前準備」が対応します。以下では、それぞれの項目に対応する計画の内容に関して議論していきます。
2. 被害抑止・軽減に関わる諸施策
2.1 災害に強い国づくり・まちづくり
災害に強い国づくり・まちづくりが、まず第一に掲げられ、ハード対策とソフト対策を組み合わせた一体的災害対策施策が志向されています。具体的には以下のような対策が挙げられます。
- 主要交通・通信機能の強化、緊急輸送路の整備等、地震に強い都市構造の形成
- 学校、医療施設等の公共施設や住宅等の建築物の安全化
- 代替施設の整備等によるライフライン施設等の機能の確保策
2.2 事故災害の予防
事故災害を予防するため、以下のような安全対策の充実が図られています。
- 事業者や施設管理者による情報収集・連絡体制の構築
- 施設設備の保守・整備等
3. 国民の防災活動の促進
国民の防災活動を促進するため、以下のような施策が行われています。
- 防災教育等による住民への防災思想・防災知識の普及
- 防災訓練の実施
- 自主防災組織等の育成強化
- 防災ボランティア活動の環境整備
- 事業継続体制の構築等企業防災の促進
- 災害教訓の伝承