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河川計画

平成9年12月1日施行の河川法改正により、治水及び利水の統一された河川管理を目的とした従前の河川法について、その目的規定を抜本的に見直し、新たに河川環境の保全と整備が法の目的に位置づけられた。

このため、従来の「工事実施基本計画」を、河川整備を行うにあたっての長期的な基本方針及び河川整備の基本となるべき事項を定める「河川整備基本方針」と、具体的な河川整備に関する事項を定める「河川整備計画」に区分して定めることとなった。このうち、「河川整備計画」については、具体の施設の整備内容等について定めるものであることから、地方公共団体の長から意見を聴取する手続きの導入を図り、地域住民や学識経験者の意見を反映させるために必要な措置を講ずることとされた。

河川整備基本方針

河川整備基本方針は、河川管理者が水系ごとに定める長期的な河川整備の方針である。この方針は、全国的なバランスを考慮しながら、水系全体を見渡して決定する必要があり、基本高水や主要地点の計画高水流量などの重要な事項が定められる。

  1. 当該水系に係わる河川の総合的な保全と利用に関する基本方針

  2. 河川の整備の基本となるべき事項

    • 基本高水ならびにその河道及び洪水調節ダムへの配分に関する事項
    • 主要な地点における計画高水流量に関する事項
    • 主要な地点における計画高水位及び計画横断形に係わる川幅に関する事項
    • 主要な地点における流水の正常な機能を維持するため必要な流量に関する事項

一級河川の場合、河川整備基本方針は従来の工事実施基本計画と同様に、国土交通大臣が河川審議会の意見を聴いた上で定めることになっている。二級河川では、都道府県河川審議会が設置されている場合、その意見を聴いた上で、都道府県知事が定めることとされた。

なお、河川整備基本方針の策定にあたっては、地域の意見を反映するための手続きが義務付けられていない。これは、河川整備基本方針が長期的な観点から、国土全体のバランスを考慮し、基本高水や計画高水流量などの抽象的な事項を科学的かつ客観的に定めるものだからである。

河川整備計画

河川管理者は、河川整備基本方針に基づいて、計画的に河川工事などの河川整備を進める区間について、具体的な河川整備計画を作成することになった。

定める整備内容の計画対象期間は、一連区間において河川整備の効果を発現させるために必要な期間とし、おおよそ計画策定時から20~30年間程度を1つの目安とする。河川整備計画で定める事項は、以下のとおりである。

  1. 河川整備計画の目標に関する事項

  2. 河川整備の実施に関する事項

    • 河川工事の目的、種類及び施行の場所並びに当該河川工事の施行により実施される河川管理施設の機能の概要
    • 河川の維持管理の目的、種類及び施行の場所

この河川整備計画を作成する際には、必要に応じて学識経験者の意見を聞くことが求められる。また、公聴会の開催などを通じて、関係住民の意見を計画に反映させるための措置を講じることが義務付けられている。