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8.3 連続立体交差事業

鉄道と道路を立体交差化させる方式には、道路が鉄道を越える(オーバーパス)、くぐる(アンダーパス)方式、いわゆる単独立体交差形式と、鉄道の一定区間を高架化または地下化する方式(連続立体交差形式)があります。都市計画道路を整備する場合、一般的に単独立体交差形式で行われ、街路事業の工種では立体交差と呼ばれています。この単独立体交差形式は、特定の道路と鉄道の交差部に限定した立体交差方式であることから、土地利用が進んだ市街地においては、その整備効果等に限界がある場合があります。このため、踏切除去による交通円滑化と公共交通の強化、鉄道の高架化等と一体的な駅周辺の市街地整備による都市の再生という目的から連続立体交差化が進められています。

8.3.1 創設時の考え方

1969年9月に「都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する協定」および「同細目協定」が運輸省と建設省の間で締結(以下、これらを「建連協定」という)されました。この協定にいう連続立体交差化とは、「鉄道と幹線道路が2カ所以上において交差」し、「その交差する両端の幹線道路の中心間距離が350メートル以上ある鉄道区間について、鉄道と道路とを同時に3カ所以上において立体交差」し、「2カ所以上の踏切道を除却」することを目的として、鉄道の「施工基面を沿線の地表面から離隔して、既設線に相応する鉄道を建設すること」と定義されており、「既設線の連続立体交差化と同時に鉄道線路を増設することを含むもの」とされています。この定義に、最小限合致する連続立体交差化の概念図は、図8.13に示すとおりです。

図8.13 連続立体交差化の概念図

8.3.2 現行採択基準

連続立体交差事業の採択基準は、1999年度までは後述する(1)基本形のみ(図8.13参照)を対象としてきましたが、2000年度に(2)ボトルネック踏切の重点的除却の推進、(3)過度に連担した踏切の集中除去、(4)大規模改築立体道路の踏切みなし、(5)段階的鉄道高架化の支援を追加し、2005年3月に発生した東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近の踏切事故を踏まえ、生活道路の「開かずの踏切」等の対策を推進するため、現在、幹線道路の踏切を対象としている連続立体交差事業について、(6)歩行者や自転車交通の多い生活道路の踏切を除却する事業を対象とするよう採択基準の拡充を行いました(図8.14、図8.15参照)。

なお、(2)~(5)の採択基準の適用に当たっては、踏切道等総合対策事業実施要綱に基づく踏切道等総合対策プログラムが策定済み、もしくは策定されることが確実であるとともに、幹線道路の単独での立体交差による場合と比較し、二輪車、歩行者交通の円滑化に資する等、幹線道路周辺の踏切除却または平面道路の整備による便益が大きいものであることが必要です。

  1. 基本形

    • 両端で350m以上離れた幹線道路を2本以上含む
    • 都市計画街路を含む道路と3箇所以上で立体交差
    • 2箇所以上の踏切を除去
    • あらゆる1kmの区間内の踏切における5年後の踏切交通遮断量t1^{t1}の和が2万台時/日以上
    • まちづくりの上で効果があり、事業費が10億円以上
  2. ボトルネック踏切の重点的除却の推進

    • ボトルネック踏切t2^{t2}が存在する幹線道路を1本含むとともに、踏切交通遮断量が2000台(人)時/日以上(踏切交通遮断量には二輪車・歩行者を含む)の道路を含む
    • 都市計画街路を含む道路と3箇所以上で立体交差
    • あらゆる1kmの区間内の踏切における5年後の踏切交通遮断量の和が2万台時/日以上
    • まちづくりの上で効果があり、事業費が10億円以上
  3. 過度に連担した踏切の集中除去

    • 両端で350m以上離れた幹線道路を2本以上含む
    • 都市計画街路を含む道路と3箇所以上で立体交差
    • 1km当り3箇所以上の密度で合計5箇所以上の踏切を除却
    • あらゆる1kmの区間内の踏切における5年後の踏切交通遮断量の和が1万台(人)時/日以上(踏切交通遮断量には二輪車・歩行者を含む)
    • まちづくりの上で効果があり、事業費が10億円以上
    • 当該区間に交差する未整備都市計画道路の整備を併せて行うもの
  4. 大規模改築立体道路の踏切みなし

    • 両端で350m以上離れた幹線道路を2本以上含む
    • 都市計画街路を含む道路と3箇所以上で立体交差
    • 2箇所以上の踏切を除去(踏切には大規模改築計画t3^{t3}のある既設の立体交差道路を含む)
    • あらゆる1kmの区間内の踏切における5年後の踏切交通遮断量の和が2万台以上(踏切とみなす既設立体交差道路については交通量の1.5倍を踏切交通遮断量とする)
    • まちづくりの上で効果があり、事業費が10億円以上
  5. 段階的鉄道高架化の支援
    整備済み区間に隣接する区間(「延長区間」という)について、以下の要件に適合するとともに、整備済み区間と一体的に見て採択基準に適合するもの。

    • 延長区間は、原則として整備済み区間の事業完了からおおむね10年以上経過していないもの
    • 原則として、整備済み区間と一体的かつ同時に高架もしくは地下構造により都市計画決定されていること
  6. 歩行者交通の多い生活道路の踏切への対応

    • 歩行者ボトルネック踏切t4^{t4}が存在する生活道路(都市計画決定されていない市町村道)を1本含むとともに、踏切交通遮断量が2000台(人)時/日以上(踏切交通遮断量には二輪車・歩行者を含む)の道路を含む
    • 道路と3箇所以上で立体交差
    • あらゆる1kmの区間内の踏切における5年後の踏切交通遮断量の和が2万台(人)時/日以上
    • まちづくりの上で効果があり、事業費が10億円以上

t1^{t1} 踏切交通遮断量:当該踏切道における自動車(二輪のものを除く)の1日当りの交通量に1日当りの踏切遮断時間を乗じた値をいう。

t2^{t2} ボトルネック踏切:踏切交通遮断量5万台時/日以上もしくはピーク時遮断時間40分以上の踏切をいう。

t3^{t3} 大規模改築計画:交差部の車線数の増加を伴う計画および道路法第30条の規定に基づく道路の構造の基準に適合しない構造となっており、これを解消する計画のことである。

t4^{t4} 歩行者ボトルネック踏切:踏切交通遮断量5万台(人)時/日以上もしくはピーク時遮断時間40分以上の踏切をいう。