施工計画
施工計画の概説
施工計画の目的
施工計画の目的は、設計図書に基づき、施工手段を効率的に組み合わせて、適切な品質の目的構造物を、環境保全を図りつつ、最小の価格で工期内に安全に完成させることにあります。
施工計画は、施工の安全性を前提として工事の品質、経済性および工期の確保という3つの条件の調和を保ちながら、施工方法、労働力、資材、資金など利用できるあらゆる生産手段を選定し、これらを活用するために最適な計画を立て、施工に移すための具体的方法を決める作業です。
本章で用いる用語を確認しておきます。
契約図書
契約図書は、契約書および設計図書を指します。
契約書のひな形として、「公共工事標準請負契約約款」が中央建設業審議会から発表されています。
設計図書
設計図書は、公共土木工事において、仕様書、契約図面(図面)、現場説明書、現場説明に対する質問回答書および工事数量総括表(「土木工事共通仕様書」による)を指します。
仕様書
仕様書には、共通仕様書と特記仕様書があります。
- 共通仕様書
- 共通仕様書は、各建設作業の順序、使用材料の品質、数量、仕上げの程度、施工方法など、工事を施工する際に必要な技術的要求や工事内容を定型的に盛り込んだものです。公共土木工事では、国土交通省が作成した「土木工事共通仕様書」が広く準用されています。
- 特記仕様書
- 特記仕様書は、共通仕様書を補足し、当該工事の施工に関して詳細または固有の技術的要求を定める図書です。
参考までに、国土交通省と地方自治体の共通仕様書のリンクを以下に示します。
施工計画作成の手順
施工計画を作成する場合の一般的な手順を流れ図で表したものが、下図です。
![](/assets/images/0201-f958da7cd8daa895a5154b9ec04e2d02.jpg)
その大まかな作成手順は次のとおりとなります。
事前調査の実施
主要な工種について、施工方法の概略や技術的検討、経済性の比較を行います。
基本計画の作成
主要な工種について、施工方法の概略や技術的検討、経済性の比較を行います。
詳細計画の作成
- 基本計画に基づき、機械の選定や人員配置、作業量、工程などを決定します。
- 仮設備の規模や配置などを決めます。
- 工種別詳細工程を立案します。
- 工程に基づき、労務や資材、機械の調達・使用計画を立てます。
- 工事費の積算を行います。
管理計画の作成
上記の計画を確実に実行するために、現場組織や配員計画、資金計画、安全衛生計画、実行予算などの諸計画を策定します。
施工計画作成時の検討課題等
設計図書を発注者から受け取った場合、通常、目的構造物の形状、寸法、品質などが示されていますが、その構築方法に関してはほとんど指示されていないことが一般的です。また、施工用仮設備工事については、特に重要なものは仕様書で一部規定されたり、あるいは発注者の承認を得るよう定められている場合がありますが、それ以外は施工者に任されることが多いです。したがって、施工者は工事を実施する手段や方法について、自身の技術と経験を最大限に活用して検討し、決定しなければなりません。
施工計画を作成する際には、さまざまな検討事項がありますが、特に注意深く確認または調査・検討する必要がある事項は次のとおりです。
- 発注者より指示された契約条件(契約書、設計図書など)
- 現場の工事条件
- 全体工程表
- 施工法と施工順序
- 施工用機械設備の選定
- 仮設備の設計と配置計画
1や2の事前調査は、施工計画の検討全体の前提条件となるため、特に念入りに確認する必 要があります。
施工計画作成時の留意点
施工計画の作成にあたって留意すべき基本的な事項は、以下の通りです。
- 発注者の要求品質を確保するとともに、安全を最優先にした施工計画とすること。
- 施工計画の決定にあたっては、従来の経験のみで満足せず、常に改良を試み、新しい工法、新しい技術に積極的に取り組む心構えを持つこと。
- 過去の実績や経験だけでなく、新しい理論や新工法を総合的に検討して、現場に最も合致した施工計画を大局的に判断すること。
- 施工計画の検討にあたっては、関係する現場技術者に限定せず、できるだけ会社内の他組織の協力も得て、全社的な高度の技術水準を活用すること。
- 手持資材や労働力および機械類の確保状況などによっては、発注者が設定した工期が必ずしも最適工期になるとは限らないので、契約工期内に収まり経済的となる工程を検討すること。
- 施工計画を決定する場合は、1つの計画のみでなくいくつかの代案を作り、経済性、施工性、安全性などの長所短所を比較検討して、最も適した計画を採用すること。
施工計画書
施工計画書の作成
「土木工事共通仕様書」(以下、「共通仕様書」と呼ぶ。)第1編1-1-1-4には、次のように規定されています。「受注者は、工事着手前に工事目的物を完成するために必要な手順や工法等についての施工計画書を監督職員に提出しなければならない。」この規定により、以下の事項の記載が求められます。
- 工事概要
- 計画工程表
- 現場組織表
- 指定機械
- 主要船舶·機械
- 主要資材
- 施工方法(主要機械、仮設備計画、工事用地等を含む)
- 施工管理計画
- 安全管理
- 緊急時の体制および対応
- 交通管理
- 環境対策
- 現場作業環境の整備
- 再生資源の利用の促進と建設副産物の適正処理方法
- その他
これらのうち、契約図書に指定されている事項について作成し、発注者の監督職員に提出する必要があります。
施工計画書の内容および留意点
施工計画書の各項目の内容および留意点については、各地方整備局から「土木工事書類作成の手引き」が公表されていますので、その要点を以下に述べます。実際には、各発注者が定める記載要領に従う必要がありますが、以下の内容は標準的なものと考えてください。
工事概要
工事概要については、工事名、工事場所、工期、請負代金、発注者連絡先、受注者連絡先を記載します。また、工事内容については、工事数量総括表に基づいて、工種、種別、数量などを記載します。設計図書との齟齬が生じないように留意します。
計画工程表
各工程(部分工事)の始まりと終わりがわかるネットワーク式工程表やバーチャートなどを作成します。作成にあたっては、以下の点に留意します。
- 降雨、気温等によって工期に影響を受ける工程については、過去のデータ等に基づいて、計画に反映させる。
- 各工種ごとの工期が、施工量や施工時期に対して無理のないこと。
- 契約図書の工程表と整合がとれていること。
現場組織表
現場組織表は、現場における組織の編成および命令系統ならびに業務分担がわかるように記載します。また、担当技術者や専門技術者を置く工事についてもそれらを明示します(図-2)。
作成にあたっては、組織の編成および業務分担(責任と権限)、指揮命令系統が明確であることに留意します。また、下請総額に対して主任技術者または監理技術者の選択を適切に行うよう注意します。
指定機械
設計図書で指定されている機械(騒音振動、排ガス規制、標準操作等)について、その使用計画を記載します。
主要船舶·機械
工事に使用する船舶や機械で、設計図書で指定されている機械(騒音振動、排ガス規制、標準操作等)以外の主要なものの使用計画を記載します。
特殊車両通行許可申請手続きなど、運搬方法について留意する必要があります。
主要資材
指定材料および主要資材、また品質確認の方法(材料試験方法、品質証明書等)および材料納入時期等について記載します。
特に資材納入時期と工程の整合、特殊車両通行許可申請の要否について留意します。
施工方法
「主要な工種」ごとの作業フロー
該当工種に関する作業フローを作成し、各作業段階における以下の事項について記載します。
- 施工実施上の留意事項および施工方法
- 工事箇所の作業環境(周辺の土地利用状況、自然環境、近接状況等)や主要な工種の施工実施時期(降雨時期、出水·渇水時期等を考慮)等。
- これを 受けての施工実施上の留意事項および施工方法の要点、制約条件(施工時期、作業時間、交通規制、自然保護等)、関係機関との調整事項等。
- 準備工として工事に関する基準点、地下埋設物、地上障害物に関する防護方法。
- 使用機械
- 該当工種における、使用予定機械。
- 工事全体に共通する仮設備の構造、配置計画等
- 工事全体に共通する仮設備の構造、配置計画等について位置図、概要図等を用いて具体的に記載する。
- 足場·支保工等については、安全確認のための応力計算等の検討結果を添付する。
- 段階確認·品質証明の時期内容
- 段階確認の時期内容と、品質証明員による品質証明時期の内容等。
- その他
- 仕様書において示された、承諾を要する事項および施工計画書に記載すべき事項が網羅されているか留意する。
- また、隣接工区との関連や技術提案事項があれば、具体的な施工管理上の対応について記載する。
各工種の用語は、設計図書や数量総括表の表記に従い、上記にあるような契約書、設計図書が求める必要事項を記入します。
施工管理計画
施工管理計画については、設計図書「土木工事施工管理基準及び規格値(案)」「写真管理基準(案)」等に基づき、その管理方法について記載します。
- 工程管理
- 工程管理表として、ネットワーク式工程表やバーチャートなどを使用します。工事遅延のリスクと遅延に対する対策についても必要に応じて記述します。
- 品質管理
- その工事で行う品質管理の「試験項目」(試験)について、「土木工事施工管理基準及び規格値(案)」等に沿って、品質管理計画表を作成します。
- 品質管理計画の作成にあたっては、必要な工種(種別)の記載、試験方法の妥当性·規格値、試験頻度の過不足、協議·承諾事項の有無について留意します。
- 出来形管理
- 出来形管理の「測定項目」について、「土木工事施工管理基準及び規格値(案)」等に沿って、出来形管理計画表を作成します。作成にあたっては、必要な工種の設定、測定基準(頻度)の妥当性に留意する必要があります。
- 写真管理
- 工事写真については、「写真管理基準(案)」等により、写真の着目点、目的、表現が明確になるように撮影し編集します。写真管理計画作成にあたっては、品質や出来形の確認のために必要で、工程の終了後や竣工後に不可視となる部分の撮影を漏らさないよう明記します。また、撮影頻度や整理条件など、基準に適合するよう留意します。
- 段階確認
- 設計図書で定められた段階確認項目についての計画を記載します。記載にあたり、施工フローとの整合に留意します。
- 品質証明
- 品質証明員等が行う社内検査項目、検査方法、検査段階について記載します。記載にあたり、施工フローとの整合に留意します。
安全管理
安全管理に必要なそれぞれの責任者や組織づくり、安全管理についての活動方針について記載します。
- 工事安全管理対策
- 安全管理組織
- 危険物を使用する場合は、保管および取扱いについて
- その他必要事項
- 第三者施設への安全対策
- 家屋、商店、鉄道、道路、ガス、電気、電話、水道等の第三者施設と近接して工事を行う場合の対策
- 近傍の通行車両、歩行者への対策
- 工事安全教育および訓練についての活動計画
- 安全管理活動として実施項目、参加予定者、開催頻度等
- 病院等の緊急時の連絡先、位置
- 労働安全衛生法、建設工事公衆災害防止対策要綱等の法令等への準拠に留意します。安全責任者や安全巡視者の施工者との雇用関係についても確認します。
- 関連する主な法令等は以下の通りです。
- 労働安全衛生法および関連規則
- 建設工事公衆災害防止対策要綱
- 土木工事安全施工技術指針
- 建設機械施工安全技術指針
- 建設機械施工安全マニュアル
- 建設業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン
- 労働安全衛生法で定められた責任者に応じて、各々記載します。
- 大規模(労働者常時50人以上、トンネル、圧気、特定の橋梁は常時30人以上)な下請混在の現場においては、統括安全衛生責任者の下に、元方安全衛生管理者、下請各社の安全衛生責任者の専任や協議会など、元請(特定元方事業者)を中心とした組織を構築する必 要があります。
緊急時の体制および対応
大雨、強風等の異常気象時または地震発生時の、災害防災および災害が発生した場合に対する、災害対策組織および連絡系統を記載します。
交通管理
工事に伴う交通処理および交通対策については、共通仕様書第1編1-1-33(交通安全管理)に基づいて記載します。
迂回路を設ける場合には、迂回路の図面および安全施設、案内標識の配置図ならびに交通整理員等の配置について記載します。
また、具体的な保安施設配置計画、支道および出入口対策、主要機械および主要材料の搬入・搬出経路、積載超過運搬防止対策等についても記載します。
環境対策(排ガス対策型建設機械および低騒音·低振動型建設機械を除く)
工事現場地域の生活環境の保全と、円滑な工事施工を図ることを 目的として、環境保全対策関係法令に準拠して、次のような項目の対策計画を記載します。
- 騒音、振動対策
- 水質汚濁
- ゴミ、ほこりの処理
- 事業損失防止対策(家屋調査、地下水観測等)
- 産業廃棄物の対応
- その他
現場作業環境の整備
現場作業環境の整備に関して、次のような項目の計画を記載します。
- 仮設関係
- 安全関係
- 営繕関係
- 現場環境改善対策の内容
- その他
再生資源の利用の促進と建設副産物の適正処理方法
再生資源利用の促進に関する法律に基づき、次の項目について記載します。
- 再生資源利用計画書
- 搬入する建設資材(土砂、採石、アスファルト混合物)に占める再生資源の利用量および再生資源の供給元を記入する。
- 再生資源利用促進計画書
- 建設副産物(建設発生土、コンクリート塊、アスファルトコンクリート塊、建設発生木材、建設汚泥および建設混合廃棄物等)の搬出量および再生資源化施設またはほかの工事現場への搬出量を記入する。
- 指定副産物搬出計画(マニフェスト等)
その他
官公庁への手続き(警察、市町村)、地元への周知、休日作業等、その他重要な事項について、必要に応じて記載します。
事前調査
事前調査の目的
建設工事は、発注者の指定する場所に指定する構造物を施工する、という単品受注生産です。一つ一つがすべて新しい仕事であり、その都度その工事に適した施工法を選定しなければなりません。したがって、目的構造物の設計図書について精通するとともに、契約条件や現場条件を十分理解して工事にのぞむ必要があります。特に、建設工事は自然を相手に取り組むものであるから、現場の自然環境、気象条件および立地条件などを事前に十分調査·把握することが、安全で確実な施工計画の立案や適切な工事価格の見積り、さらには工事全体の成功につながるので、ことに重要です。
契約条件の確認
施工計画を作成するにあたっては、現場で考えられる あらゆる事態に適切に対処できるよう、まず、契約書および設計図書の内容を精査し、工事の目的ならびに契約金額、目的構造物に要求されている品質、工期について十分精通しておく必要があります。この場合、特に確認すべき点は、次のとおりです。
契約内容の確認
- 事業損失、不可抗力による損害に対する取扱い方法
- 工事中止に基づく損害に対する取扱い方法
- 資材、労務費の変動に基づく変更の取扱い方法
- 瑕疵担保の範囲等
- 工事代金の支払条件
- 数量の増減などによる変更の取扱い方法
設計図書の確認
- 図面と現場との相違点および数量の違算の有無
- 図面、仕様書、施工管理基準などによる規格値や基準値
- 現場説明事項の内容
その他の確認
- 監督職員の指示、承諾、協議事項の範囲
- 当該工事に影響する附帯工事、関連工事
- 工事が施工される都道府県、市町村の関係条例とその内容
なお、契約内容に疑問がある場合は、発注者に問い合わせ、あるいは協議して、文書を交換し、契約の範囲や責任の範囲を明瞭にしておく必要があります。
現場条件の調査
現場条件の事前調査の結果がその後の施工計画の良否を決めるので、個々の現場に応じた適切な事前調査を実施する必要があります。現場調査の一般的な項目は、次のとおりです。
自然·気象条件の把握
- 地形·地質·土質·地下水(設計との照合も含む)
- 施工に関係のある水文気象データ
仮設計画の立案
- 施工方法、仮設方法·規模、施工機械の選択方法
- 動力源、工事用水の入手方法
資機材の把握
- 材料の供給源と価格および運搬路
- 労務の供給、労務環境、賃金の状況
輸送の把握
- 道路の状況、運賃および手数料、現場搬入路
近隣環境の把握
- 工事によって支障を生ずる問題点
- 用地買収の進行状況
- 隣接工事の状況
- 騒音、振動などに関する環境保全基準、各種指導要綱の内容
- 文化財および地下埋設物などの有無
建設副産物の適正処理
- 建設副産物の処理方法·処理条件など
その他
- その他
なお、具体的な調査項目、調査方法、頻度などは、それぞれの現場に応じて適切に設定する必要があります。現場条件の事前調査項目は、数が多いため、項目を見落とさないように、下表のようなチェックリストを作成するようにしてください。
【現場条件事前調査チェックリスト】
- 準備持参品
- 調査参加者の決定、調査項目分担、集合場所時間打合せ、出先等への連絡、利用交通手段、 調査時間スケジュール、予定日の天気予報、地図、設計図書、野帳、スケール、テープ、 カメラ、資料入ビニール袋、双眼鏡、 ハンドレベル、ポール、ハンドオーガー、コーンぺ ネトロメーター、ハンマー、作業衣、長靴、スコップ、磁石、 トランシ ーバー、カメラ
- 地形
- 工事用地、センター杭、幅杭、高低差、地表勾配、切取高、危険防止箇所、設計図書と現 地の相違点、土取場、土捨場、骨材採取場、材料貯蔵場、排水
- 地質
- 粒度、締固め特性、自然含水比、硬さ、混有物、岩質、亀裂、断層、地層、落石、地すべ り、たい積層、地盤の強さ、支持力、 トラフィカビリティ、地下水、伏流水、湧水、 既存 の資料、柱状図、近接地の例、地元からの情報収集
- 気象
- 降雨量、降雨日数、降雪開始時期、積雪量、融雪期、気温、日照、風向、風力、台風、波浪、 ハザードマップ
- 流況
- 各季節ごと(梅雨期、台風期、冬期、融雪期)の低水位と高水位、平水位、洪水(洪水位、 洪水量、危険水位、出水時間、ひん度などについての過去の記録を調査、また本川より支 川への逆流、たん水時間、排水ポンプ能力)、潮位の河川への影響、干満差、最高最低潮位、 付近の聞き込み
- 電力水
- 工事用電源(電圧、容量、引込距離、配線)、電力以外の動力源の必要性
- 工事用水(水道か井戸か地表水か、水量、場所、水質、取水設備、既得取水者)
- 仮設建物施工施設
- 事務所、宿舎、倉庫、車庫、建設機械の設置場および修理施設、材料貯蔵所、材料試験場、 プラント、火薬庫、変電所、給油所、電話、電灯、上水道、下水道、燃料ガス、既存の病院· 保健所·修理工場などの有無
- 輸送
- 搬入道路(幅員、路面、路盤の強度、舗装の有無、カーブ、交通量、交差点、踏切、交通 規制、荷重 制限、高さ制限、 トンネル、橋梁)
- 鉄道軌道(運行回数、始終発時刻、最寄り駅までの距離、荷役施設、運賃および手数料)
- 船舶(水路、水深、きっ水、こう門、港までの距離、荷役施設)
- 材料
- 砂、砂利、栗石、砕石、石材、盛土材料、木材、鋼材、生コンクリート、 コンクリートニ 次製品などについて生産地、生産量、距離、貯蔵量、生産品質、単価、調達において競合 する他工事の有無
- 労力
- 賃金、地元募集可能人数、他地方移入可能人員、農繁期の出役可能人員、婦人労働力、熟 練度、特殊技能者、他工事との競合、地元下請業者、遠距離の場合のマイクロバス輸送
- 工事用地
- 買収済の用地境界、未解決の用地および物件、解決済の未移転物件、未解決の場合の解決 見込、借用地、借地料、耕作物
- 支障物件
- 地下埋設物(電力、通信、ガス、上下水道、排水路、用水路)
- 地上障害物(送電線、通信線、索道、鉄塔、電柱、やぐら)
- 文化財
- 環境問題
- 交通問題(交通量、定期バス有無と回数、通学路、作業時間に対する制限、祭礼行事障害、 観光ルート、回り道)
- 公害問題(騒音、振動、煙、ごみほこり、取水排水などが学校、病院、商店、住宅に与え る影響)
- 相隣関係(公害問題以外に掘削による近接家屋への影響、耕地の踏み荒しおよび樹木の伐 採補償、土砂および排水の流入)
- 権利関係
- 水利権、漁業権、林業権、土捨権、採取権、鉱業権、地上権、地役権、特許
- 工事関連
- 将来の追 加工事の可能性、設計変更の可能性のある箇所、付帯工事、関連別途工事、隣接 している他業者の工事
また、現場調査の実施にあたっては、工法、段取り、建設機械の機種選定、工期などを常に頭に浮かべながら踏査します。また、ベテランの意見を聴いたり地元からの情報収集などにも努めるようにしてください。重要な工事の調査項目については、判断の偏りをなくすために、複数の者で調査したり、時期を改めて調査することも重要です。
基本計画
施工方法と施工手順
決定の手順
設計図等と事前調査を基に、図2.8に示す手順を経て、施工方法と施工手順を決定します。
![](/assets/images/0208-03ec63cf65c80c4c2050500ca8675f66.jpg)
重点工種
施工方法と施工手順の決定にあたっては、次に示す工種について、特に重点的に検討します。
- 数量、工費の大きい工種
- 高度の技術が要求される工種
- 安全面での危険度の高い工種
- 環境に影響を及ぼすことが予想される工種
基本方針
施工手順の検討にあたっては、次の基本方針に留意します。
- 全体工期、全体工費に及ぼす影響の大きい工種を優先して考える。
- 工事施工上の制約条件(環境・立地・部分工期)を考慮して機械、資材、労働力など工事の円滑な回転を図る。
- 全体のバランスを考え、作業の過度な集中を避ける(作業の平準化)。
- 繰り返し作業を増すことにより習熟を図り、効率を高める。
施工図面等の作成
決定した施工方法、施工手順を、発注者をはじめ関係諸機関、施工に携わる関係者に説明できるよう、施工図面、表および文章にしてまとめます。記載すべき主な内容は、次のとおりです。
- 工事全体の流れを示す施工手順フロー図ならびに主要工種に関する施工手順図、手順など
- 仮設備に関する設備配置図、設備図面、設備名称、仕様・規格、能力、容量、設置数量など
- 主要工種における機械・設備等の配置図、機械設備の名称、仕様・規格、能力、台数など
- 重要仮設物に関する構造設計計算書
![](/assets/images/0209-2cf886ce2f0d45d86f328360befdec23.jpg)
工程計画
工程計画の意義
工程計画は、施工計画の根幹となるだけでなく、工程管理の基本ともなる重要な計画であります。その直接の目的は工期内に工事を完成させることですが、工事目的物の品質は各工程においており込まれ、また、工事の原価も各工程において生じるものですから、工程計画は、施工管理の目的であるところの「より良く」、「より安く」、「より早く」の実現、すなわち、工事の成否を左右する重要な計画であるといっても過言ではありません。
工程計画の目的と作成手順
工程計画の立案における主な目的は、次のとおりです。
- 各工程(各部分工事)の施工順序を決めること。
- 各工程(各部分工事)に必要な作業可能日数、1日平均施工量など作業日程を算定すること。
- 機械、設備の規模・台数などの組合せを決定すること。
- 全体の実施工程表を作成すること。
また、各部分工事の実施工程計画の作成手順は、図-1に示すとおりです。最終的にはそれらの検討結果を総合して各種の図表に表し、別に述べる工程管理に使用します。
![](/assets/images/0210-eb37210ff37839dc377fc475654a605c.jpg)
施工方法の選定
施工方法の選定について、建設機械の選定を例に説明すると、一般に、
- 工事条件に最も適した建設機械の選定(工事現場への適合性)
- 最も経済的な建設機械の調達と運用方法(経済性)
- 最も合理的な建設機械の組合せ(建設機械の組合せ)
の3つについて具体的に検討することが大切です。その要点は、以下に列挙するとおりです。
工事現場への適合性
土工機械を例とした場合は、
- 取り扱う土の種類、土質条件、地下水の状況
- 工事量、掘削深さ、運搬距離
- 機械作業の自由度
などの工事条件に適した機種・容量の建設機械について検討し、機種をしぼり、その数種の機種について経済性と合理的組合せを検討します。
経済性
建設機械が経済的であるか否かの検討は、以下の条件を考慮して決めます。
- 工事単価
- 工事規模・施工速度(1時間平均施工量)
- 機械損料・運転経費
- 納期