国家賠償法
国家賠償とは違法な行政作用により生じた損害を金銭で穴埋めしてもらうことであり、これについて定めた法律が国家賠償法です。最高裁判所の判例を中心に学習していきましょう。
1. 国家賠償法の全体像
(1) 国家賠償制度成立の経緯
大日本帝国憲法の下では、国家は過ちを犯さないと考えられており、国や公共団体の違法な行為により損害が発生したとしても、国民は損害賠償請求をすることはできないとされていました(これを国家無答責の原則といいます)。
もっとも、これではあまりに国民にとって不利益ですから、日本国憲法は、17条という条文を置いて国や公共団体に対する損害賠償請求(これを国家賠償請求といいます)を認め、これを受けて国家賠償法という法律が作られました。これにより、国家賠償制度が確立することとなりました。