第11章 水路
第1節 基本事項
1. 定義
水路とは、河川改修工事等にともなう付替水路および堤防のり面排水のための堤脚水路をいう。
2. 堤脚水路の設置位置
堤脚水路の設置位置は、いわゆる「2Hルール」を適用し、堤防のり尻より1:2.0勾配で引いた仮想線より外に設けるものとする。
設置位置は、図1-2-1によらなければならない。
3. 水路の計画規模
付帯工事の場合は、現況復旧を原則とするが、流出量を算定する場合には、10年確率を原則とする。
第2節 流出量の算定
流出量の算定は、「河川砂防技術基準(案)同解説 調査編 第5章第2節洪水流出計算」に準ずる。
流出量は、以下に示す合理式で算定することが多い。
Q = (1/3.6) * f * r * A
ここに、
- Q: 流出量(m^3/s)
- f: 流出係数
- r: 到達時間内の降雨強度(mm/hr)
- A: 流域面積(km^2)
〔1〕 流出係数
流出係数の値については、「河川砂防技術基準 同解説 計画編 第2章2.7.3」に準じ「河川砂防技術基準(案)同解説 調査編 第5章 第2節」を参考とする。
第3節 水路断面
1. 構造
構造は、石張り、石積み、コンクリート構造(「建設省制定 土木構造物標準設計第1巻 側こう·暗きょ類」)とし、原則として素掘水路は設けない。
「建設省制定 土木構造物標準設計第1巻解説書(側こう·暗きょ類)」の断面決定図表を使用して断面決定してもよい。ただし、この図表は一律最大流量の20%の余裕とされたものであり、次項に示す余裕と異なるため使用には十分注意する必要がある。
1-1 余裕
余裕は求めた流出量の30%とする。
1-2 流速
一般排水溝、排水管の流速は、水路の洗掘、土砂の堆積等、維持管理面を考慮して設定するものとする。
側溝の材質と平均流速の範囲:
- コンクリート: 0.6~3.0 m/s
- アスファルト: 0.6~1.5 m/s
- 石張りまたはブロック: 0.6~1.8 m/s
1-3 粗度係数
粗度係数は、使用する材料に応じた値を用いるものとする。
マニングの粗度係数nの範囲と標準値:
水路の形式 | 水路の状況 | nの範囲 | nの標準値 |
---|---|---|---|
カルバート | 現場打ちコンクリート | - | 0.015 |
コンクリート管 | - | 0.013 | |
コルゲートメタル管(1形) | - | 0.024 | |
(2形) | - | 0.033 | |
(ペービングあり) | - | 0.012 | |
塩化ビニル管 | - | - | 0.010 |
コンクリート2次製品 | - | - | 0.013 |
ライニングしたア水路 | 銅, 塗装なし, 平滑 | 0.011~0.014 | 0.012 |
モルタル | 0.011~0.015 | 0.013 | |
木, かんな仕上げ | 0.012~0.018 | 0.015 | |
コンクリート, コテ仕上げ | 0.011~0.015 | 0.015 | |
コンクリート, 底面砂利 | 0.015~0.020 | 0.017 | |
石積み, モルタル目地 | 0.017~0.030 | 0.025 | |
空石積み | - | 0.023~0.035 | 0.032 |
アスファルト | 平滑 | - | 0.013 |
ライニングなし水路 | 土, 直線, 等断面水路 | 0.016~0.025 | 0.022 |
土, 直線水路, 雑草あり | 0.022~0.033 | 0.027 | |
砂利, 直線水路 | 0.022~0.030 | 0.025 | |
岩盤直線水路 | 0.025~0.040 | 0.035 | |
自然水路 | 整正断面水路 | 0.025~0.033 | 0.030 |
非常に不整正な断面, 雑草, 立木多し | 0.075~0.150 | 0.100 |
第4節 集水ます
集水ますは、側溝が配水管に接続する箇所、および側溝の断面が変化する箇所等、必要に応じて設けるものとする。
(1) 形状寸法
形状寸法は、接続する排水溝の大きさ、位置、維持管理作業を考慮して決定するものとする。集水ます、および排水管の維持のため人が入って容易に作業ができる大きさとする。構造は、「建設省制定 土木構造物標準設計第1巻 側こう·暗きょ類」および「建設省制定 土木構造物標準設計第1巻解説書(側こう·暗きょ類)」に準ずる。施工性、経済性等を考慮し、プレキャスト製品の使用を検討するものとする。
(2) 土砂溜まり
集水ますには、深さ50cm程度の土砂溜まりを設けるものとする。ただし、流出土砂量が少ないと考えられるような場合や維持作業の頻度が少ないと考えられる場合等ではこの限りでない。
(3) 昇降用金具
集水ます内高が1m以上の場合には、昇降用金具を取り付けるものとする。
(4) 蓋
集水ますには、状況に応じて蓋を設けるものとする。
第5節 府県別降雨強度(参考)
大阪府
- 龍豊地域: 図5-1-2参照
- 三島地域: 図5-1-3参照
- 河内地域: 図5-1-4参照
- 南河内地域: 図5-1-5参照
- 泉北地域: 図5-1-6参照
- 泉南地域: 図5-1-7参照
地域割は図5-1-1参照。
京都府
京都府全域の降雨強度式:
- 上位10個 10分≤t≦24時間: 864.291t^(2/3)+4.949
- 上位10個 10分≤t≦24時間: 1093.198t^(2/3)+5.350
- 上位10個 10分≤t≦24時間: 1504.443t^(2/3)+6.489
- 上位10個 10分≤t≦24時間: 1716.511t^(2/8)+7.139
- 上位10個 10分≤t≦24時間: 2040.236t^(2/3)+8.443
- 全資料(参考) 10分≤t≦24時間
滋賀県
滋賀県全域の降雨強度式(M27~H5):
- 229.6t^(0.5)-0.4584
- 273.0t^(0.5)-0.3480
- 321.0t^(0.5)-0.2472
- 351.6t^(0.5)-0.1855
- 383.4t^(0.5)-0.1246
- 441.3t^(0.5)-0.5372
確率年別の降雨強度式:
- 30年: 523.7t^(0.5)-0.4547
- 50年: 638.0t^(0.5)-0.3590
- 80年: 738.6t^(0.5)-0.3539
- 100年: 818.6t^(0.5)-0.2250